森朋之の「本日、フラゲ日!」vol.123
BTS(防弾少年団)、ユニゾン、マイヘア……作品のなかに込められたメッセージを紐解く
11月16日に開催される初の日本武道館公演『朗読演奏実験空間 新言語秩序』のために書き下ろされた3曲を収録したamazarashiのニューシングル『リビングデッド』。3曲とも秋田ひろむが“言葉の力”をテーマに書き下ろしたストーリーとリンクした楽曲だが、現在の社会の成り立ち、そのなかで生じる圧力、分断などをどこまでもリアルに反映しながら、どこか寓話的な世界観へと結びつけるソングライティング/サウンドメイクは、amazarashiの創造性のさらなる進化を証明している。個人的にもっとも強いインパクトを感じたのは、3曲目の「独白(検閲済み)」。真の言論の自由、表現の自由を追求した末のギリギリの結実がここにある。あまりにも誠実なamazarashiのスタンス、それ自体に思い切り心を打たれてしまう。
amazarashi 『リビングデッド(検閲済み)』Music Video | 新言語秩序 テンプレート言語矯正プログラム
今年2月のアメリカデビュー、8月にはイギリスの老舗インディーレーベル<Heavenly Recordings>からデビューを果たし、10月には多国籍バンドSuperorganismのワールドツアー13公演に参加するなど、ワールドワイドに展開しているCHAIのキャリア初のシングル『GREAT JOB / ウィンタイム』は、彼女たちのもっともベーシックなテーマである“コンプレックスはアートだ”をさらに推し進めた「GREAT JOB」、ウィンターシーズンの華やかさを描き出すパーティチューン「ウィンタイム」による両A面。現在進行形のインディーロックとリンクしながら、あくまでも自分たちの興味と感性に忠実なバンドサウンドは自由奔放、痛快無比。既存のフォーマットを使わず、本当の意味で自由であることこそが大事なのだと、CHAIの音楽を聴くたびに痛感させられる。
CHAI『GREAT JOB』Official Music Video
■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。