BTS(防弾少年団)、ユニゾン、マイヘア……作品のなかに込められたメッセージを紐解く

 世界的スーパーグループへと成長したBTS(防弾少年団)、音楽性の高さ、ライブの凄みによってバンドシーンの中心的な存在となっているUNISON SQUARE GARDENなど、いまもっとも注目すべきアーティストの新作をピックアップ。それぞれの作品のなかに込められたメッセージ、活動に対するスタンスを紐解いてみたい。

BTS (防弾少年団)『FAKE LOVE/Airplane pt.2』(初回限定盤A)

 2018年8月にリリースされたアルバム『LOVE YOURSELF 結 'Answer'』がアメリカのビルボード・アルバム・チャートで1位を獲得(2018年5月発売の『LOVE YOURSELF 轉 ‘Tear’』に続き2作連続での1位)。アメリカ、カナダ、ヨーロッパなど16都市を回るワールドツアーを成功させるなど、いまや完全に世界的なスターとなったBTS(防弾少年団)のニューシングル『FAKE LOVE/Airplane pt.2』が到着。「FAKE LOVE」「Airplane pt.2」の日本語バージョンを収めた本作は、トラップ以降のヒップホップ、オルタナR&B、エレクトロなどのトレンドを抑えたトラック、すべてのリリックに豊かなグルーヴを与えるボーカル/ラップなど、言語の壁を超えた活躍を続けるBTS(防弾少年団)のメソッドがたっぷりと込められている。特に哀切な恋愛感情と快楽的なフロウを共存させた「FAKE LOVE」は絶品。彼らが国境を超えられたのは、高度な技術に支えられたプロダクションによるところが大きいと改めて実感させられた。

BTS (방탄소년단) 'FAKE LOVE' (Japanese ver) Official MV

UNISON SQUARE GARDEN『Catch up, latency』(通常盤)

 TVアニメ『風が強く吹いている』(日本テレビほか)OPテーマとしてオンエア中のUNISON SQUARE GARDENのニューシングル表題曲「Catch up, latency」は、叙情的なメロディを中心に置いた前作「春が来てぼくら」から一転、ギター、ドラム、ベースが生々しく絡み合うアンサンブル、エッジーかつポップな旋律をストレートに描き出したロックチューンに仕上がっている。メジャーデビュー曲「センチメンタルピリオド」(2008年)を思い出すリスナーもいるだろうが、この曲は単なる原点回帰ではなく、バンド以外の音を取り入れて構築したアルバム『MODE MOOD MODE』以降のUNISON SQUARE GARDENの最新モードにつながっているのだと思う。来年の15周年のキックオフとも言える、“これぞ俺たちのユニゾン!”な1曲だ。

UNISON SQUARE GARDEN「Catch up, latency」ショートver.

My Hair is Bad『hadaka e.p.』

 〈僕らの続きはいつだって今日だ〉と高らかに宣言するミディアムチューン「次回予告」(ヒップホップ的なフロウがめちゃ気持ちいいです)、青春という季節が過ぎ去っていく様、そのときに感じる後悔と憂いを描き出したギターロックナンバー「惜春」を含むMy Hair is Badの5曲入りEP『hadaka e.p.』。3rdアルバム『mothers』のヒット、日本武道館2daysの成功、夏フェスでも圧倒的な存在感を発揮するなど、ロックシーンのど真ん中に進み出たマイヘアは、現在のポジションに満足することなく、さらに先へ先へと性急に進み続けている。溢れ出す激情、ほとばしる衝動。それがなくなったらロックバンドはおしまいだと、マイヘアのメンバーは骨の髄までわかっている。

My Hair is Bad – 「hadaka e.p.」全曲トレーラー

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