JUJU、アルバム『I』を巡る長い旅の終わり 吉田羊も登場した“JUJUの日”武道館公演

JUJU、吉田羊も登場した武道館公演レポ

 8月11日に富山でファイナルを迎えたホールツアーからおよそ2カ月、JUJUが再びステージに帰ってきた。大阪城ホールと日本武道館で行われる『-JUJU 15th ANNIVERSARY- JUJU TOUR 2018「I」ARENA追加公演』3本のうち、今日は武道館の2日目。自他共に認める最高傑作『I』の世界を再現するツアー、そのグランドフィナーレでJUJUは何を見せてくれるのか。満員のオーディエンスが見つめる中、午後6時半、期待に満ちた幕が開く。

 オープニングはこれまでリリースされたオリジナルのアルバムアートワークに加え、映像を駆使してアルバム『I』のコンセプトをドラマチックに表現するもの。ファンクでロックなダンスナンバー「believe believe」が1曲目なのはホールツアーと同じだが、コーラス隊と弦カルテットの入ったバンドに、さらに3名のホーンセクションが加わったおかげで、体に伝わる音の豊かさと迫力が違う。白と銀とピンクのフリンジドレス、可愛いギャリソンキャップを頭に乗せたJUJUが、新たにセット入りした「What You Want」などアップナンバーの曲を、ダンサーと共に歌い踊る。爆音と共に金と銀のテープが打ち出され、まだ序盤なのにすでに盛り上がりは最高潮。ミラーボールが輝くダンスR&B調の「RISKY」など、アップテンポ四連発にフロアは総立ちだ。

「10月10日のJUJUの日に、みなさまと過ごせることを幸せに思います。今日は4月からのツアーの最終日になります。なんだか楽しい夜になりそうな気がしています」

 精魂こめて作り上げたアルバム『I』のコンセプトをあらためて解説し、「今の自分にできることはいろんな“アイ”の歌を歌うことです」と締めくくるJUJU。逢、藍、哀、相、曖、I、そして愛。続いて歌った「あの夜のふたり」のように、長い時を経て再会した大人の濃厚なラブストーリーや、忙しく過ごす日々の中で愛を探す女性心理を描く「Love Is Like」など、JUJUが楽曲にこめた思いは一色では収まらない。幸せ、孤独、喜び、悲しみ、様々な感情が混ざった複雑で美しい色合いが、JUJUの描く大きなアイの世界だ。

 ドラムとベースが叩き出すファンキーなリズムと、流麗なストリングスが溶け合う「いいわけ」のふくよかなグルーヴが、武道館いっぱいに響き渡る。JUJUの呼びかけでオーディエンス全員がコーラス隊になった「Let It Flow」では、手拍子と合唱で会場がひとつになる。ここまででちょうど1時間。バンドが奏でる贅沢な音、オーディエンスのかもしだすハッピーでリラックスしたムード、バランスは絶妙だ。 

 中盤にはホールツアーと同じく、JUJUの重要なルーツのひとつ、ジャズをフィーチャーしたコーナーがあった。12月5日にリリースが決定したニューアルバム『DELICIOUS~JUJU's JAZZ 3rd Dish~』の完成を記念して、「New York New York」「Fly Me To The Moon」「My Favorite Things」「Remember (The Good Times)」と、レモンイエローとゴールドの衣装に着替えてスタンダードの名曲を歌うJUJUは見るからに楽しそうで、ご機嫌な4ビートに乗ってステップを踏むと、武道館が一気に親密なジャズバーの空気に変わる。「New York New York」のエンディング、豊かな声量を生かした超ロングトーンも素晴らしかった。「ジャズは私(I)にとって自分を作るための重要なファクター」と語るJUJU。彼女のライフワークと言ってもいい最新ジャズ・アルバム、ぜひチェックしてほしい。

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