V系シーンに“メンヘラ”ブーム広がる  ユーモアと冷静な視点を持つバンド、甘い暴力の魅力

 おそらく、彼らは、ヴィジュアル系が、一般的にどのようなイメージを持たれているのかということに意識的なバンドだ。特に、“病み”や“メンヘラ”は、ヴィジュアル系ファンからは強く共感されるが、反面、ヴィジュアル系に馴染みのない人からは敬遠されがちなテーマである。だからこそ、重くなりすぎないよう、ユーモアをまじえながらバンギャルやバンドマンの生態を暴いているのだろう。そして、そういったヴィジュアル系の特性を隠すのではなく、オープンにすることで、彼らの存在を認め、受け入れている。その包容力も、甘い暴力というバンドの特徴だ。

 ヴィジュアル系を冷静に俯瞰する視点と、シリアスなテーマをユーモラスに表現するひょうきんさ。これを合わせ持っているところが、甘い暴力の大きな魅力なのだ。

■小川あかね
京都府在住。関西拠点の音楽レヴューサイトki-ftに参加しています。
Twitter:@akam00n

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