サザンオールスターズと芸術花火が生む相乗効果 オーガナイザー浦谷幸史が語る『茅ヶ崎サザン芸術花火2018』

オーガナイザーに聞く『サザン芸術花火』

 『茅ヶ崎サザン芸術花火2018』が、10月27日にサザンオールスターズゆかりの地・神奈川県茅ヶ崎市のサザンビーチちがさきにて開催される。『茅ヶ崎サザン芸術花火2018』は、サザンオールスターズ40周年を記念して、茅ヶ崎の有志と、通常の花火大会とは一線を画した「音楽」と「花火」を掛け合わせた花火エンターテインメントの先駆け“芸術花火”(株式会社GREAT SKY ART)チームが発起し、開催するもの。今回が関東で初めての開催となる当イベントはサザンオールスターズの楽曲のみを使用し、ワンアーティストの楽曲だけで構成される芸術花火は世界初となる。その挑戦に満ちた『茅ヶ崎サザン芸術花火2018』についてオーガナイザーの浦谷幸史氏にインタビュー。今回のイベントにかける思いや、サザンと芸術花火がもたらす可能性などイベントの魅力に迫った。(編集部)

ワンアーティストで“芸術花火”ができるのはサザンオールスターズだけ 

ーーこの『茅ヶ崎サザン芸術花火2018』とは、どんなイベントなのでしょう?

浦谷幸史(以下、浦谷):サザンオールスターズがデビュー40周年を迎えたことを祝うべく、サザンの聖地である茅ヶ崎で、サザンの名曲にシンクロさせた形で“芸術花火”を打ち上げるーーというのが、簡単な概要になるのですが、そもそも“芸術花火”って何だっていう話になりますよね?

ーーそうですね(笑)。

浦谷:音楽に合わせて花火を打ち上げるというのは昔からやっていますし、その楽曲にシンクロさせた形で花火を上げる“音楽花火”みたいなものも、今、全国でものすごく流行っているんですね。ただ、“芸術花火”という名前でやらせてもらっている我々のチームは、他のものよりも音楽と花火のシンクロ率が高いことはもちろんですけど、そもそもそういったチーム自体、これまで日本に、ということは、すなわち世界に存在しなかったんですよ。

ーーというと?

浦谷:日本でいちばん有名な花火大会というと、秋田県の大曲で毎年行われている『全国花火競技大会』になると思うのですが、それはその年、誰がいちばん素晴らしい花火の玉を作ったかを決める大会なんです。もう100年ぐらいの歴史がある大会で、そこのトップがいわゆる“総理大臣賞”になるのですが、それを過去最多受賞されている野村花火工業さんをはじめ、アルプス煙火工業さん、安藤煙火店さんなど、日本の最高峰の花火製造業者さんたちなどが集まった……サザンに倣って言うならば、文字通り“花火オールスターズ”が結集してショーを作っているのが、我々のチームなんですね。

ーーなるほど。

浦谷:それに加えて……日本の花火職人というのはすごい伝統技術を持っていて、本当に胸を張って世界に誇れるほど素晴らしいんですけど、彼らはあくまでも花火の玉作りのプロであって、演出のプロではないんですよね。なので、僕らのチームというのは、花火製造業者さんはもちろん、花火演出、さらには企画から会場の設営、マネジメントの部分までも、その道のプロが集まっていて……そういうチームって、これまで日本に存在しなかったんですよ。

ーーそれが浦谷さん率いる「GREAT SKY ART」であると。

浦谷:そうなんです。で、僕らは2009年に茨城県ひたちなか市で開催した『大草原の花火と音楽』を前身として、2014年からは北海道札幌市モエレ沼公園で『モエレ沼芸術花火』というのを毎年やっていて……そこで“芸術花火”というのを確立していった感じなんですよね。

ーー浦谷さんたちは、そういった“芸術花火”のイベントを、これまで札幌や名古屋、福岡、京都でもやってこられたようですが、それと今回の『茅ヶ崎サザン芸術花火』は、どのようなところが違うのでしょう?

浦谷:もうまったく違うと思います。そもそも、全部をひとつのアーティストの楽曲でやるというのが、今回が初なので。通常の“芸術花火”では、大体10曲から12曲ぐらいを選曲して、それに合わせて、その曲の世界観を花火で表現するというのをやっているんですね。そこには、J-POPもあれば、オペラとかクラシックの曲も入っているような。というのも、ひとつのアーティストの曲でやると、単純に1時間もたないんですよ。楽曲のバリエーションにも限界がありますし、どこかでお客さんが飽きてしまうんです。だけど、僕らはずっと、いつかはワンアーティストで“芸術花火”をやりたいと思っていて、それができるのは日本では唯一サザンオールスターズだけだと思っていたんです。

ーーそれはどういう意味で?

浦谷:客観的に聴いて、あれだけ多彩な音色があって曲調も豊かなアーティストは、他にいないじゃないですか。要は、アップテンポなものからバラードまで、どんな曲でもあるんですよ。そして何より、誰もが知っている大ヒット曲がめちゃくちゃたくさんある。なので、見ている人たち、聴いている人たちも飽きないですし、ずっと感動し続けることができると思うんです。他のアーティストでやったら、恐らく一時間もたないですから。恐らくというか、絶対にもたないと思います。

ーー花火大会という特性上、子どもからお年寄りまで楽しめるものが理想であって、そういう意味でもサザンはうってつけですよね。

浦谷:そうなんです。単に名曲が多いというだけではなく、老若男女問わず人気があって、みんなが曲を知っているという。さらに言うならば、サザンの曲は、全体的に“花火感”があるというか……サザンの歌詞のなかに、よく「花火」というワードが出てくるのはもちろんですけど、ここで僕が言う“花火感”というのは、楽曲が持っている“色”なんです。で、花火もやっぱり“色”が大事じゃないですか。だから、その色付けが、すごい豊かにできるんです。他のアーティストだと……たとえば、このアーティストは赤っぽいよねとか、黄色っぽいよねっていうのがあると思うんですけど、サザンの場合、曲によって本当に色が違うというか、色の種類がとても豊富なんですよね。

ーーイメージの話ではあると思いますが、何となくわかります。

浦谷:あとは、スピード感ですよね。ひと口に花火といってもいろいろな玉があるので、打ち上がってから開くまでのスピードが、結構違ったりするんです。だけど、サザンの場合は、曲のテンポを考えても、アップテンポなものからバラードまで、本当にいろんな種類の曲がそろっているので、そういう部分でもバッチリだっていう。持ち上げるわけではないですけど、他のアーティストでは本当にあり得ないと思うんですよね。

ーーちなみに、浦谷さん自身は、サザンの音楽は?

浦谷:単純にめっちゃファンです(笑)。親の影響で、小学校5年生まで、音楽と言ったらThe Beatlesしか聴いてなくて、そのとき流行っているアイドルとかはまったく聴いてなかったんですけど、ふとしたきっかけでサザンを聴くようになって……以来、ずっと聴いています。なので、僕にとってサザンの音楽は、常にそこにある音楽というか、それこそサザンの音楽と共にある思い出みたいなものは、もう数えきれないぐらいあって。というか、そういうものは、誰しもが持っているんじゃないですかね。だから、ファンだって公言してない人も、実はファンだったりするんです(笑)。もう当たり前に存在するから気づいてないだけで、サザンの潜在的なファンっていうのは、きっとものすごい数になるんじゃないですか?

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