『ぺっとぼとリテラシー ほとばしるバテで夏を締めくくりまショータイム Vol.2』
ましのみ、充実の“夏”を終えて次なるステージへ 様々な表現で歌を届けたワンマン公演振り返る
ましのみが9月8日、代官山UNITにて『ぺっとぼとリテラシー ほとばしるバテで夏を締めくくりまショータイム Vol.2』を開催した。ましのみは、今年の2月にメジャーデビューを果たした現役女子大生シンガーソングライター。秋の訪れを感じるこの頃、夏がテーマの1stシングル『どうせ夏ならバテてみない?』を携えて行われたこの日のライブで、ましのみとオーディエンスは公演タイトルどおり“夏”を締めくくった。
ましのみから生まれる表現は常に独特のセンスを放っている。これまでのライブでも、トレードマークの2リットルのペットボトルをキャラクター化して会話してみたり、一人二役を演じる寸劇を披露するなどの不思議ワールドを繰り広げてきた。そして、この日のライブでは夏の訪れを「夏」と書かれた巨大うちわで表現。夏うちわが元気に動かされると楽しいけれど暑苦しい夏のことを思い出し、夏うちわがハケると瞬間的ににその疎ましさから解放される。ましのみの独特さは、言葉にすることが難しいことを具体化したり、物事を客観視する視点から生まれているのだということに気づいたのは、このライブでの一つの収穫だったかもしれない。
ステージの幕開けと共に披露されたのは、「どうせ夏ならバテてみない?」。同曲の衣装でもあるパジャマを着たましのみは、2名のダンサーを従えてダンスを披露。オーディエンスもサビの振り付けがバッチリ決まっている。続く「ハッピーエンドが見えません」ではパジャマを脱ぎ捨てTシャツ姿に。弾むようなテンポの未発表曲「ラッシュガード」まで一気に駆け抜けた。「名のないペンギン空を飛べ」では、パタパタと口で発しながら空飛ぶペンギンの様子を再現。蛍光色の映える衣装に着替え、途中ハンドマイクにチェンジするなどまさに空を飛ぶかのように自由なスタイルで歌を披露していく。
ましのみは、歌に合わせて鍵盤を弾く。なかでも「Q.E.D.」のようなダイナミックな鍵盤さばきは目を見張るものがあるが、それに合わせて情感たっぷりに歌いあげるのが学校生活を送る中で生まれたであろう、ましのみ流の人生哲学なのが面白い。ましのみの頭の中を覗くことができたらどんな世界が広がっているのだろうと、聞いていると想像力が働くような楽曲ばかりだ。
勉強のように決まった答えのない恋愛における感情を歌にしたユニークな楽曲「四角2の文章題」では、タオルを回したりジャンプをしたりしながら体全体でもどかしさを表現。その盛り上がりそのままに代表曲の一つである「プチョヘンザしちゃだめ」へ。ライブ演奏がサポートのシンセベース、エレドラ、ましのみのキーボードという編成で行われていることが象徴するように、特にメジャーデビュー以降の楽曲はデジタルサウンドを基調にしたダンサブルなポップソングが多い。恋愛を中心としたユニークかつ等身大な歌詞が共感を呼ぶ一方、サウンド面からましのみの楽曲に反応するリスナーも増えているようだ。
「夏バテするくらい盛り上がろうと思ったけど、2曲で疲れたな」とマイペースなコメントを残すと、アコギを抱えてしっとりと歌を聞かせるコーナーへ突入。「お日様さまさまサマー」ではましのみの愛らしいボーカルを堪能。「どこから見ても綺麗だからね。花火も、君も」と告げて始まった「コレクション of コネクション」では、打ち上げ花火の映像をバックに鍵盤の弾き語りを披露した。恋心と楽しい夏の日の終わりの切なさが交錯する同曲の後には、シリアスな雰囲気で「リスクマネジメント失敗」を歌い上げた。