連載「Signal to Real Noise」第二回:Newspeak

Newspeakが語る“リバプールと日本の違い”「クリエイティブになろうというムードが出てくる」

 Spotifyが注目する、ニューカマー発掘プレイリスト『Early Noise Japan 2018』と、リアルサウンドのコラボによる連載企画「Signal to Real Noise」。プレイリストでピックアップされた“才能の原石”たちへ、手練の音楽評論家がその音楽遍歴や制作手法などについて取材するという同企画の第二回は、柴 那典氏による、Newspeakへのインタビューをお届けする。(編集部)

第一回:福岡から世界へ、Attractionsが考える“アジアで通用するということ”

「みんなReiとはイギリスに行く前から知り合いだった」

プレイリスト「Signal to Real Noise」

 2年連続で『SUMMER SONIC』に出演を果たすなど、結成から大きく話題を集めるNewspeak。スケール感のあるメロディとUKロックのルーツを感じさせつつジャンルにとらわれないバンドサウンド、Rei(Vo/Key)の色気ある歌声が魅力の4人組だ。10月3日には1stミニアルバム『Out Of The Shrinking Habitat』をリリース予定。ライブは音源よりもパワフルな骨太さとパンクな親密さが感じられるもので、かつ、全編英語詞なのでフィーチャーされにくいが、歌詞のロマンティックな言葉もバンドの大事なポイントになっている。それぞれに音楽活動を経てからこのバンドを結成したRei、Ryoya (Gt)、Yohey(Ba)、Steven(Dr)の4人に話を聞いた。(柴那典)

ーーライブを拝見して、すごくスケール感がある、最終的にすごく大きな場所まで響きそうな音楽をやっていると感じました。

Rei:ありがとうございます。

Rei

ーーバンドの成り立ちもユニークだと思うので、どういう風にバンドが始まって、どういうビジョンを共有していったというところからお話を聞いていければと思うんですけれども。4人はどう出会ったんでしょうか?

Rei:もともと、みんな別々で知り合いだったんです。僕は全員と知り合いで。RyoyaとYoheyは知り合いで、それぞれ「一緒にやろうか」みたいな話をしていて、Stevenは全く別に自分のバンドをやろうとしていて、でもそれが全然始まらなくて。

Yohey:みんなReiとはイギリスに行く前から知り合いだったんです。で、イギリスからが帰ってきて、フラフラしてたんで「一緒にやろうや」って。

Steven

ーーReiさんがイギリスのリバプールから帰国したのが2016年だったんですよね。帰ったらバンドをやろうという考えはずっとあった?

Rei:正直、帰ってきて音楽を真剣にやるつもりはあんまりなかったんです。普通に仕事をしよう、音楽は遊びで続けようかなって思ってて。そしたら、たまたまいろんな話があって、イケるかなって思ったというか。

Yohey:みんな家が近かったんですよね。歩いて行ける距離にみんな住んでたんで。

Ryoya

ーーRyoyaさんはどんな感じで参加されたんですか?

Ryoya:僕はもともとYoheyとバンドをやろうって言っていて。ボーカルを探してたんですよ。「誰かいるかな」って思いながらYouTubeをいろいろ観たりして「前に知り合いだったJohn Doe Tokyoのあいつ、すごいいいな」って思って。で、Reiのライブに行ったんです。そこからいろいろ話しているうちに「やろう」ということになって。その後にStevenが参加したという。

ーーみなさん、それぞれバンドを経てきているわけですよね。集まったときに「こういうことをやろう」とか「こういう感じの音を鳴らしたい」とか、そういうビジョンの共有ってあったと思うんですけれど。どんな感じでした?

Rei:僕は「大きいところで映えそう」みたいな、漠然としたものはありましたけど。曲に関しては最初にはデモがあって、それを一人ひとりに聴いてもらった感じです。

Yohey

ーーまずはReiさんが曲を作ったと。

Rei:その時はそうですね。みんなに聴かせて、最後にStevenに聴かせて。そこから一緒にやってくれるということになった。

ーーその時に思い描いていたのは?

Rei:想像力がかきたてられる、刺激されるような音楽ですね。10年後、20年後に聴いても、その時の匂いとか映像とか、そういうものが蘇ってくるような音楽がやりたい。そこはみんな同じ感覚をを持った人たちだと思ってるんで。

Steven:だから自然にこのジャンルになった。

Rei:「こういう感じにしよう」とか、あんまり話したことがないですね。

Steven:バンドが始まって一年くらい立ったけど、一回もそういう会話をしたことはないよね。「どういうアルバムを作ろうか」とか「どういうジャンルをやろうか」とか、そういう話はずっとなかった。スタートからみんなReiの声はわかっているし、ReiがこういうUKの感じの曲を歌うというのも知っていて。それでリハーサルに入って、出てきた曲がこうなった。

ーーということは、基本的にはReiさんの声とメロディが軸になっている。

Rei:そうですね。結構、アレンジはみんな勝手にやるんですよ。でも、そこがブレずにあるので。

ーー音源を聴くと2000年代のUKのインディロックやインディダンスのフレーバーがあるんですが、ライブを見ると予想以上にパンクだなって思ったんです。

Yohey:ははは(笑)。それは僕とStevenのせいですね。僕はルーツがRancidなんで。

Steven:僕もずっとパンクロックしか聴いてなかったからね。Blink182とかThe OffspringとかNew Found Gloryとか、そういうポップパンクで育ってきた。

ーーStevenに聞きたいんですが、そこまでパンクロックのルーツがあって。そうじゃないバンドでやる可能性や面白さは?

Steven:たぶんNewspeakがパンクロックをやるとしたら、僕は叩かないと思う。そんなスピードだとできないもん(笑)。ちょっとゆったりして、グルーヴを感じて叩いたほうが楽しい。

Yohey:大人になったっていうね。でも結果、パンクロックになってるけどね(笑)。

Rei:最近思うんですけど、このバンドのいいところって、言ってることを聞いてそうで聞いてなくて、でも聞いてなさそうで聞いてるところなんですよ。「フェスとかでやりたい」とか「こういう景色の曲をやりたい」って言っても、みんな全然リアクションないんですよ。でも、結局、最終的には自分の色を出しつつ、そこにちゃんと行ってくれる。たぶん、それが良さにつながってるのかなって思うんですけれども。

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