Perfume、最新作『Future Pop』で示した“未来のポップ” J-POPの可能性開く楽曲構成を分析

 前作『COSMIC EXPLORER』に収録されたシングル曲「FLASH」はそのいい例だ。映画『ちはやふる』の主題歌としてヒットしたこの曲は、シングルバージョンでは平歌からサビへと盛り上がっていくJ-POP的な展開になっている。対して、アルバムに収録されたバージョンでは、1分以上の長いビルドアップに平歌からサビまでが収められ、ドロップにはほぼボーカルが挿入されていない。シングルでは親しみやすいJ-POPを、アルバムではEDMの王道を選んだ結果だろう。

[MV] Perfume 「FLASH」

 それを踏まえて本作に目を向けると、前述したシングル曲のほか、ドラムンベース調の「Future Pop」やトロピカルハウス的なプラックが響く「Let Me Know」では、明確にEDM的構成が用いられている。一方「TOKYO GIRL」のようにEDMとJ-POPを折衷した構成の曲も収録されており、にもかかわらずPerfumeの名のもとに一貫した世界を提示できている。

[MV] Perfume 「Let Me Know」

 シングルとアルバムでアレンジを変えてまでJ-POP的な構成を守ってきたPerfumeが、EDM的な構成をポップスとして日本でリリースする機が熟したと判断したのが「If you wanna」であり、いまやEDMもJ-POPも違和感なく一貫性を持ってパッケージングできることを証明したのが『Future Pop』なのだ。本作が“未来”的なのは、単に表面的にフューチャリスティックな装いをしているからではなく、サウンドも楽曲のあり方もJ-POPの次の可能性を開いているからにほかならない。

■imdkm
ブロガー。1989年生まれ。山形の片隅で音楽について調べたり考えたりするのを趣味とする。
ブログ「ただの風邪。」

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