BLACKPINK、MOMOLAND、TWICE……韓国ガールズグループのサマーソングなぜ増えた?

Egotistic/MAMAMOO

[MV] MAMAMOO(마마무) _ Egotistic(너나 해)

 アイドルグループとしての一面と実力派ボーカルグループとしての一面を持ち、ユニークな存在感と結束力で韓国では大衆人気と女性ファンを中心に、ボーイズグループのような独自のファンドムを構築しているMAMAMOO。今年日本デビュー&コンサートが決まっている彼女達のサマーソング「Egotistic」は、ラテンの情熱的なリズムが意外なほどの直球さだ。過去の夏曲をどこかパロディしたようなMVのクドさは、本来の彼女達のキャラクターを考慮するとどこかユーモアすら感じる。クラシックなサマーソングを実力で乗りこなした正統派の一曲と言えよう。

Power Up/Red Velvet

Red Velvet 레드벨벳 'Power Up' MV

 韓国では季節を代表する曲ーー春であればBusker Buskerの「桜エンディング」のようなーーが存在する。しかし、夏のイメージが定着していたサマークイーン・SISTARは2017年の初夏に解散してしまった。セクシーでありながらも健康的なイメージで万人から支持されたSISTARの存在感は、少女らしさやガールクラッシュが主流になっている韓国女子アイドルの中では稀有でもあった。そして2017年の夏にリリースされた、Red Velvetの代表曲と言える「Red Flavor」が大ヒットし、新たな“夏ソング”が生まれた。Red Velvetの歌う夏はギラギラとした太陽の明るさやバカンスの楽しさ、ポップでフルーティな色彩など、より現在のガールグループの流行に馴染みやすいイメージだ。8月14日にリリースされたばかりの「Power Up」はそんな大衆の“REDな夏”への期待に見事に応え、新たなサマーソングとして現在絶賛ヒット中。50’sの香りのレトロさとEDMが融合し、懐かしさと新しさを同時に感じるキッチュで楽しいナンバーだ。

 今年はなぜここまで女性グループの新曲リリースが夏に集中したのだろうか。まず、韓国では春はミドルテンポ、秋冬はバラードやミドルチューンの曲、夏=EDMやダンスソングというイメージが定着している。また、近年夏はフェスやイベントが多いため、この前後に新曲をリリースして存在感を示すという実利的な理由もあるようだ。先述のようなRed Velvetの成功により、自分たちなりの“夏っぽいコンセプト”にトライしようと新曲リリースが相次いだのかもしれない。

 特に今年は他にも『PRODUCE 101』シーズン1出身のソロシンガー・チョンハの爽やかなトロピカルチューン「Love U」や、ガールズグループではベテランの域に入ったApinkの新境地「I’m so sick」、『PRODUCE 101』や『Unpretty Rapstar』などに出演したリーダーのソヨンが作詞作曲する自作ドルであり、新人女子グループとしてはやや異色でアンニュイな雰囲気を持つ(G)I-DLEのクールでダークな新曲「HANN」など、ベテランから若手まで多くの女性グループの“夏うた”がチャート上位を賑わせている。今年は様々なバリエーションのKPOPのサマーソングが味わえる夏となった。

■DJ泡沫
ただの音楽好き。リアルDJではない。2014年から韓国の音楽やカルチャー関係の記事を紹介するブログを細々とやっています。
ブログ:「サンダーエイジ」
Twitter:@djutakata

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