『心華EP ~春とら!~』インタビュー
今のボカロシーンだけが持つ“特異性”とは何か? キノシタ×ぬゆりが語り合う
今のボカロシーンは「よりアーティストっぽい曲作りになった」(ぬゆり)
――今のボカロシーンについて、2人はどんな変化を感じていますか?
ぬゆり:昔は「これがボカロだ」という分かりやすいサウンドや雰囲気があったと思うんですけど、今はひとりひとりの曲調が多彩なものになってきているように感じます。昔は「ボカロック」的な音圧戦争のイメージもありましたけど、音の隙間をがっつり埋めない作り方をしている人も増えていて、意図的に音数を抜く人も多いですよね。上手く言えないんですけど、より「アーティストっぽい曲」の作りになっている気がするんです。それぞれの個性がより伝わるようなものになっているというか。
キノシタ:自分の場合、2014年ぐらいまでボカロを聴いていて、一度離れた時期があったんですけど、また2016年頃に帰ってきた頃に、「ボカロック」じゃなくなった雰囲気はすごく感じました。ナユタン星人さんもそうですし、くらげさん(くらげP:和田たけあき)もそうですけど、投稿をはじめてから、色んな方の音楽を聴いてその変化を改めて感じました。昔よりも色んなジャンルの音楽を作る方がいて、賑やかになっていると思いますね。今まであったものをなぞるような人たちは、少なくなってきているような気がします。
――今やボカロシーン出身のクリエイターの人たちは、J-POPシーンでも広く活躍しています。そういった意味でも、広がりがあるかもしれません。
ぬゆり:「自分もそうなりたい」と考えているわけでもなかったりはしますが、有名になっている方は、自分の音楽を貫いた結果人気が出た方たちばかりだと思うので、自分もそれを貫き通すことや、アップデートを欠かさないことの大切さをひしひしと感じます。
キノシタ:自分は今学生で、就職しようかどうかと考えていたときに、今のように聴いてくれる人が増えて、「音楽の方でやってみよう」と振り切れたので、そういう方に続いていきたいという気持ちはありますね。
――これから、どんな活動を続けていきたいと思っていますか?
ぬゆり:僕は新しいことをずっとやっていきたいですね。ずっと作っていると手癖が生まれてきますけど、それってあまりよくないと思うんです。もちろん、手癖も突き詰めればいいものになるとは思いますけど、たぶん自分はそういうタイプではないと思うので。一か所にとどまらずに、これからも新しいものを作り続けていきたいですね。
キノシタ:自分も同じで、新しいことにチャレンジしていきたいです。作曲に限らず、動画も絵もそうですし、ゲームも好きなので、たとえばゲーム実況のようなものも含めて、もっと自分を色々と出していきたいな、と思っています。
(取材・文=杉山仁/撮影=山田将史)
■リリース情報
『心華EP ~春とら!~』
発売中
価格:単曲250円、アルバム1500円
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〈収録内容〉
01. Magic Melody / HoneyWorks feat.心華
02. ハナイロ☆シャイガール / キノシタ feat.心華
03. デカディズム / ぬゆり feat.心華
04. 春恋爛漫 ~I just want~ / Spacelectro feat. 心華
05. ココロハナ / takamatt feat.心華
06. 僕の街 / Dixie Flatline feat.心華
07. 三月色 / れるりり feat.心華