フォーリミ、フレデリック、sumika、ユニゾン…バンドのアリーナワンマンに見る“チーム力の強さ”

 時系列を遡ってしまうが、1月28日に行われたUNISON SQUARE GARDENの幕張メッセ公演ではアリーナ特有の演出などはなく、あくまでツアーの他公演と同等の扱いだった。それはなぜかというと、元々このバンド(特に田淵智也/Ba)は大会場でライブをすることに対して意欲的ではなく、バンドの人気上昇に伴いチケット申し込み数が増えたため、アリーナワンマンに踏み切った、という背景があったからだ(この辺りについて詳しく知りたい人は、オフィシャルHPに掲載されている田淵のブログを遡ってみてほしい)。唯一違っていたのは、ステージ上方にLEDスクリーンが設置されていたこと。開演直前にLEDが点灯しただけで観客がどよめきに近い声を上げていたのはかなり新鮮だった。バンドの演奏ももちろん素晴らしかったが、たとえステージが遠くてもライブハウスのような臨場感が損なわれなかったのは、メンバーの姿を絶えず捉え続けたこのスクリーンの存在、また、いつもとは異なる会場で“いつも通り”の温度感を実現させた音響・照明技術によるところも大きい。実際、同公演終了後のインタビューでは、田淵も「(前略)PAチーム、照明チーム、映像チームが、君たちの哲学は変えないでいいから、その前提で考えるねってやってくれたことは、非常にバンド冥利に尽きました」と話していた(引用元:『ROCKIN’ON JAPAN』2018年4月号)。ユニゾンの場合、先に触れた3組のように華やかな演出を取り入れたわけではないが、ライブのやり方に強いこだわりを持っているバンドだからこそ、チームの理解が必要不可欠だったのではと思う。そんな彼らのスタンスは、6月13日に行われた横浜アリーナ公演でも同様に貫かれていた。

 アリーナでワンマンライブをするまでに至ったのはもちろんバンド自身の実力あってこそ。しかし、メンバー以外の人間の力の大きさを理解し、「チーム」として動くことの大切さを分かっているバンドだからこそ、ここまで成長することができたのかもしれない。

■蜂須賀ちなみ
1992年生まれ。横浜市出身。学生時代に「音楽と人」へ寄稿したことをきっかけに、フリーランスのライターとして活動を開始。「リアルサウンド」「ROCKIN’ON JAPAN」「Skream!」「SPICE」などで執筆中。

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