藤原さくら、初の日比谷野音ワンマンで示した“現在地” ポピュラリティを極めてさらなるフィールドへ

藤原さくら、日比谷野音ワンマンレポ

 本編ラストは、インディーズ時代、高校生のころ(当時は福岡在住)に発表した「お月さま」。そして、アンコールでは、『green』の中で幻想的な世界観を表した「The Moon」と、月の曲を続けた。すっかり日が落ちて暗くなり、月こそ出ていなかったが、時代も場所も超えて同じ月を見ているような感覚にもなれる。もともと劇場版アニメの主題歌として作り、作品に引っ張られて壮大な世界観、深いせつなさを表現したという「The Moon」では、全ての楽器の音が響きわたり、ステージ上の光の花や、ミラーボールの光とともに会場を包んだ。

 「楽しいけれど、もう終わりの時間です。次の曲は思い入れの深い曲。みんなとも“bye bye”することになるけど、私は、また会おうねって言える“bye bye”が好きです。楽しく、お別れできたら。今日はほんとにありがとうございました!」と藤原。大きな手拍子とともに明るく「bye bye」で、幕を下ろした。

 藤原さくら初の日比谷野外音楽堂は、これまでの歩みと未来をつなぐ、藤原さくらの「現在地」を示すものだったが、音楽をひたすら楽しみ、穏やかなまま、攻め攻めの藤原さくらがいた。開演前のBGMに、The Lemon Twigsのようなエッジィなバンドに並んで、テイラー・スウィフトも流れていたことを思い出した。テイラーは、自身のルーツを大事にしつつも、最新のトレンドをどんどん取り入れ、世界的なポップスターの座を切り開いてきた。藤原も音楽へのこだわりと、ポピュラリティをより極め、今後も、いろんな局面で新境地、さらなるフィールドへと切り込んでいくのではないだろうか。その始まりに、『green』『red』という2部作は、大事な作品となるに違いない。

(文=古城久美子/写真=羽田誠 / HADA MAKOTO)

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