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『Personal Terminal』インタビュー

小松未可子×田淵智也(Q-MHz)特別対談 “ポップスシンガー”としての充実を支えるチームワーク

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「関わるみんなが楽しいと思えるようなプロジェクトにしたい」(田淵)

ーー田淵さんは先ほど「1曲を作ってから次の1曲を考える」と話していましたが、今回のアルバムに関してはシングル曲から派生して作っていった、という形なのでしょうか。

田淵:いえ、「Maybe the next waltz」の頃からアルバム作りは始まっていて、1年くらいの年月が掛かっているんですよ。余裕を持って作らせてくれるというのは、このチームの良いところで。「3カ月で12曲を作ってください」というリミットがあったとすると、ジャッジはどんどん甘くなっていってしまう。これ、アニソン業界や音楽業界の良くないところだと思うんですよ。余裕を持って作れば良いものになるなら、絶対そうしたほうがいいじゃないですか。それは自分のバンドでも強く意識している点なんです。

ーー田淵さんのなかでは、余裕を持って曲作りに入ることがバンドと作家業の両方において重要なんですね。

田淵:締め切りが嫌いなので、先立って自分の中で曲を作るようにしていて。だからバンドは1年半後ぐらいの作品のことを逆算しながら考えていくし、できてから色んな人に聴かせるまで、何度もその曲をブラッシュアップしていくんです。時間を掛けてデモを何十回も聴くと、自信のあるところとないところが明確になるし、考える時間を設ければ設けるほど絶対自信のあるものがアウトプットできるという経験則があるから、Q-MHzでプロデュースする際も、アルバムの制作は1年前から始めると決めていました。

ーーそのうえでアルバムを形作るキーになった曲とは?

田淵:「Happy taleはランチの後で」、「SPICE MISSION」、「Romantic noise」の3曲ですね。まずはポップかつ小松さんに合うものを作っていって、あとから落ち着いた曲を作ろうとは思っていました。奇しくもその3曲って、ブラスが入ってる曲なんですよね。

ーー前回はfhánaや広川恵一(MONACA)さんなど、チームメンバー以外の作家さんに色んなテイストの曲をお願いしていましたが、今作では「カオティック・ラッシュ・ナイト」にTom-H@ckさんが参加しています。

田淵:僕、音楽制作をやる時に「関わるみんなが楽しいって思ってもらえるようなプロジェクトにしたい」と常日頃から考えていて。アルバム制作タイミングの近くでTomくんと知り合う機会があって、「Q-MHzの現場、楽しかった!」って言ってもらえそうな人だなと感じたんです。そこから「カオティック・ラッシュ・ナイト」を作っていくなかで、小松さんから「こんな感じの曲をやりたい」というリクエストがあったんですけど、僕の作った曲が思った以上にポップでピンときてなかったみたいで(笑)。そこから整えていったんですけれど、ワンコーラスができた段階でかなり複雑なコード進行の曲になっていたので、事務所がかつて同じだったやしきんやebaくんから「何でもできる人です」と言われていたTomくんの存在を思い出して、彼に作編曲をお願いしたんです。

ーー小松さんからのリクエストはどんなものだったんですか?

小松:そのとき自分が興味を持っていた曲を挙げて「こういうのをやってみたいんです」と田淵さんに渡しました。

田淵:ちょっとアニソンっぽさもありつつ、結構アレンジが変な曲だったので、面白そうと思ってトライしたんですよ。

小松:私も、Q-MHzさんがこういう楽曲を作るイメージはなかったので、一体どうなるんだろう? と思いながらお願いしたんです。

ーー歌詞は小松さんとQ-MHzの共作なんですよね。

小松:はい。最初のワンコーラスは私が書いて、それを引き継ぐ形でQ-MHzのみなさんに書いていただきました。最初は私とQ-MHzさんでリレー形式で作詞をしたいと思っていたんですけど、今回は私の歌詞を田淵さんに引き継いでいただき、最終的に畑さんが調整してくださいました。

ーー作詞家・田淵智也から見て小松さんの書く歌詞はどうですか?

田淵:テーマ設定がすごくはっきりしているというか。多分テーマから書いているんだろうなと思いました。僕はとりあえず書き出すタイプなので、アプローチ的には真逆ですね。最初に小松さんから第一稿が来たとき、「こういうストーリーにしたいんです」という文章も添えられていて、それがちゃんと明確にテーマを設定したものだったんです。なので、僕の役目はストーリーを破綻させないようにすることだなと思って書き進めました。

小松:「この言葉を入れたい」というよりは、ストーリーから作るタイプなんです。頭の中で最後にこうなると想像していても、それを歌詞のなかにどうしても落とし込めないこともあるので、今回はその点をかなり補ってもらいました。

ーー小松さんからの提案で作っていった曲は他にもあるんですか。

小松:「Pains」がそうです。私からは「アコースティックギターを使った曲」とお願いしました。こんなに切なくて良いバラードを作っていただけて……。

ーーそれを踏まえてアルバムの収録曲をみると、Q-MHzがポップな楽曲を作っていったあとで、小松さんが違う要素を加えて自分の色にしていったのかな、と思ったのですが。

田淵:たしかに、バランスやアルバムの流れを考えて意見をくれているんだなと思いました。嬉しいですね。

小松:そういえば、畑さんが先日「アルバムの中で1曲は泣きたい」っておっしゃっていたのを思い出しました。前作は「流れ星じゃないから」がそのポジションにいましたが、今回は「Pains」がそうなのかもしれません。

田淵:畑さんは“作詞ディレクション担当大臣”として、「アルバム全曲のバランスはこうだ」「いま、こういう系の曲がない」ということを定期的に共有してくれていますね。

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