mol-74が見せた4ピースバンドとしての“再生” 『▷(Saisei)』ツアーファイナルを振り返る

mol-74、4ピースとしての“再生”

 大雨だったこの日。MCで武市は「本日は雲ひとつない快晴の中、お越し下さってありがとうございます! ……(大雨は)僕たちのせいだと思ってるんだろう」と冗談を飛ばしながらも、「みなさん、心だけでも晴れさせて帰ろうと思います!」と高らかに宣言した。そのまま坂東のパワフルなドラムが響き渡る。同時に会場からは手拍子が起こり、どんどん盛り上がりを見せていった。そんな中で披露されたのが、『kanki』のリード曲「%」だ。ポップで疾走感溢れるサウンドに、会場のボルテージは最高潮に。<二つとない><一つしかない><僕らが描き始めたもの>と武市が歌うサビでは、会場を埋め尽くす観客が一斉に手を高く突き上げる。その光景をステージの上から見た武市、井上、高橋、坂東の4人も心の底から楽しそうに美しい音を奏でていく。

 最後に武市は「『▷(Saisei)』っていう作品のコンセプトが“夜明けへの再生”っていうことで、去年の11月に高橋くんが正式メンバーになったっていう流れもあって。もう一回ここからやろうじゃないかっていう、生まれ変わろうじゃないかっていう作品を作ったんですけど」と今作への想いを明かす。続いて「最後、<夜は、明ける>という言葉でこのアルバムは終わってるんですけど。本当に今年の僕たちは夜が明けそうなので、みなさん今年、僕たちに期待していてください!」と視界いっぱいの観客たちに語りかけた。

 本編最後は、『▷(Saisei)』の最後に収録されている曲「□(StarT)」。武市の優しい歌声と井上のもの哀しく儚いギターリフが鳴り響く。次第に高橋の柔らかいベースの低音と坂東のプリミティブなバスドラがどっしりと基盤を築いていった。<きっと、そう><夜は、明ける>。

 mol-74にとって、新しく生まれ変わったこの日。再生を果たした彼らは、私たちにどんな朝を見せてくれるのだろうか。mol-74は夜明けにさす光に向かって、今まさに“StarT”したばかりだ。

※高橋涼馬の「高」はハシゴダカが正式表記。

(取材・文=戸塚安友奈/写真=MASANORI FUJIKAWA)

■セットリスト
『mol-74「▷(Saisei)」release tour』
5月13日(日)東京・恵比寿LIQUIDROOM

01.●(Fanfare)
02.▷(Saisei)
03.▷▷(夜行)
04.アルカレミア
05.プラスチックワード
06.フローイング
07.rose
08.| |(Frozen Time)
09.バースデイ
10.グレイッシュ
11.◁◁(瞼)
12.ゆらぎ
13.エイプリル
14.ノーベル
15.%
16.□(StarT)

■関連リンク
mol-74 オフィシャルサイト

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