JUNNAが見せた“表現の幅広さ”と“伸びしろ” 2度目のワンマンツアーを振り返る

JUNNAが見せた表現の幅広さと伸びしろ

 JUNNAが自身2度目となるワンマンツアー『JUNNA ROCK YOU TOUR 2018〜 I'm Here〜』の東京公演を、4月28日にZepp DiverCity TOKYOにて開催した。JUNNAと言えば、TVアニメ『マクロスΔ(デルタ)』に登場する戦術音楽ユニット、ワルキューレのエース・ボーカリストである美雲・ギンヌメールの歌唱パート担当として、まだ17歳ながら横浜アリーナ公演などの大舞台も経験済みのシンガー。その生命力漲る圧倒的なパフォーマンス力は、本公演においても遺憾なく発揮されていた。

 今回ツアーのチケットは全公演ソールドアウト、Zepp DiverCity TOKYOが立錐の余地もないほどの状態となったこの日のライブは、ステージ前面いっぱいに張られたスクリーンにJUNNAのシルエットを映したド派手な映像演出で期待を高めつつ、ワイルドなアップ曲「Steppin' Out」で威勢よくスタート。生バンドによる熱のこもった演奏と、それに負けない勢いで飛び出してくるJUNNAの歌唱はとにかくエネルギッシュだ。そこからイントロのフレーズで大歓声が上がったワルキューレの人気曲「いけないボーダーライン」と立て続け、JUNNAの「東京、盛り上がっていくぞー!」の声にオーディエンスも美雲のイメージカラーである紫のサイリウムを振りながら声で応える。まだソロデビューして間もないのでソロでの持ち曲が少ないという面もあるのだろうが、ワルキューレ曲も満載した出し惜しみなしのセットリストは、彼女の魂がワルキューレと共にあることの証とも言えるだろう。

 JUNNAがZepp DiverCity TOKYOの舞台に立つのは、2016年夏に同会場でワルキューレの1stライブを行って以来のこと。MCで「この場所にひとりで立てるとは思ってなかったので、とてもとてもうれしいです」と感謝の言葉を述べた彼女は、「楽しい思いをここからもっともっとみなさんにぶつけていきたいと思います!」と語り、シリアスな表情で真に迫った「大人は判ってくれない」、ポニーテールを揺らしながらノリノリでコーラスの女性との掛け合いを聴かせた「LOVE! THUNDER GLOW」、朗々とした歌声が沁み渡る「僕らの戦場」のドラマティックな3曲を連続で披露する。

 MCを挿み、ここからはしっとりと聴かせるパートへ。ワルキューレ屈指の名バラード「GIRAFFE BLUES」をピアノ中心の叙情的なアレンジに乗せて歌い上げた後は、アコギと鍵盤の音のみをバックに燃え上がるような情念を忍ばせた哀歌「火遊び」、さらに歌詞の物語に従って夕日のようなオレンジ色から夕闇の紫へと変化していくライト演出も素晴らしかった「ソラノスミカ」へと繋げる。17歳という年齢にしてはディープである種の重みすらも感じさせるJUNNAの歌声は、大人びた表現を要するこれらの楽曲においても映えるもの。というかここまでブルースを感じさせる若手シンガーというのは今どき珍しいし、そこは彼女が稀有な才能の持ち主である理由のひとつだと思う。

 「ソラノスミカ」の終盤でJUNNAは姿を消すも、バンドはそのまま演奏を継続。バンドマスターを務めた八橋義幸の強烈なギターソロも炸裂し、紫の光の中でさらにエモーショナルな世界を描き出す。その余韻が消え去らぬなか、黒いドレス姿に早着替えしたJUNNAが突如ステージ上に表れ、そのままシームレスにシングル曲「Here」へと移行。音源でも印象的な冒頭のアカペラ部分で一気に景色を変え、4拍子からサビで6/8拍子へと切り替わる高難度なナンバーを切々と歌い切る。続く「JINXXX」ではタイトなミニスカ姿となって、マイクスタンドも使ってしなやかな動きと共にパフォーマンス。コーラスの女性とのシンクロダンスでもしっかりと魅せる。

 「よし! ゆったりとした雰囲気はここまで」と語ったJUNNAは、ここからラストスパートとばかりに怒涛のアップチューンを連続で投下。まずは「ワルキューレは裏切らない」をステージ狭しと上手から下手までダッシュしながら元気いっぱいに披露する。アウトロで笑顔を浮かべてワルキューレのハンドサインを見せた彼女は、やはり期待を裏切らない。美雲のメインボーカル曲である「破滅の純情」ではイヤモニをもどかしいとばかりに耳から外し、オーディエンスの声を直接浴びながら楽しそうに交歓。間奏ではJUNNAみずからバズーカで客席に向けてプレゼントを放ち、ワルキューレではレイナ・プラウラーの歌割りパートである<「好・き・よ」>の部分で客席にマイクを向けて大合唱するなど、熱狂的な盛り上がりを発生させる。さらに「破滅の純情」と同じコモリタミノル×西直紀コンビが手がけたソロ曲「Vai! Ya! Vai!」へと繋げ、コール&レスポンスと銀テープ発射で高まりはこの日最高潮に。野性的とも形容したくなるそのステージ捌きは、ライブアーティストとしての天性の才能を感じさせるものだった。

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