WINNERがファンと共に描いた“青春”のカタチ 万感の想いで迎えた日本武道館公演

WINNERがファンと描いた“青春”のカタチ

「僕たちが一緒にいる限り、WINNERの音楽と共にいる限り、僕たちはいつも青春です!」

 YG ENTERTAINMENTに所属するボーイズグループ WINNER。彼らの4度目となる日本ツアー『WINNER JAPAN TOUR 2018 ~We'll always be young~』の最終公演が、4月28日に日本武道館で行われた。

カン・スンユン
キム・ジヌ
イ・スンフン
ソン・ミノ
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カン・スンユン
キム・ジヌ
イ・スンフン
ソン・ミノ
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 過去のツアービハインド映像でスタッフ手書きポスターに目標の一つとして描かれていた武道館公演が、デビューから4年目で4度目、カン・スンユン、イ・スンフン、キム・ジヌ、ソン・ミノの4人体制になって初という4づくしの記念すべきツアーのフィナーレとして実現した。

 オープニングは昨年夏にリリースした「LOVE ME LOVE ME」。トロピカルディスコ調の明るく軽快な曲で満員の会場の雰囲気を緩やかに心地よく上げていった。アッパーなイメージの強い先輩アーティストとは対照的に、デビュー当初から落ち着いたアコースティックなイメージがいい意味で「YGらしくないグループ」と言われてきたWINNER。しかし、実際は続く「Don‘t Flirt」や「LOVE IS A LIE」といった、遊ぶように楽しい曲もデビューアルバムからの定番曲だ。

 MCに続き、先輩であるBIGBANGの名曲をWINNERらしくシックにアレンジした「Haru Haru(WINNER Ver.)」で会場が一体になった後は、先ほどまでの雰囲気から一転、落ち着いたミドルテンポな曲が続いた。印象的なメロディと歌声が、タイトルどおり雨の雫のように心に染みこんでいく「RAINING」はスンフンがメインプロデュースを担当。ミノが亡くなった友人を偲んで制作した「HAVE A GOODDAY」は優しく、どこか寂しい余韻を残した。

 ジヌとスンフンのMCの後、衣装チェンジをしたスンユンとミノによる「The Door」を披露。スンユンが俳優として出演したヒットドラマ『賢い監獄生活』のオリジナルサウンドトラックとして使われており、Block.bのZICOプロデュースのジャジーで重めのヒップホップナンバーだ。スンユンのアコースティックギターでアレンジされた「DIFFERENT」から「COLOR RING」までしっとりと聴かせる曲が続いた後は、新生WINNERになってからのカラーを象徴するヒットナンバーが続けて披露された。

 新体制初のカムバック曲であり、2017年度の大ヒットとなった「REALLY REALLY」は、それまでのイメージを覆すトレンディなトロピカルハウスソング。しかし、アコースティックギターを弾くメンバーがメインで作曲しているからか、ベースにはしっかりとしたメロディがあり、流行だけに流れない聴き飽きない普遍性も兼ね備えているように感じる。続くダンスホール・トロピカルトラックの「ISLAND」も同様だが、今のWINNERが曲全体で発しているメッセージは、ここ数年若年層のトレンドとも言われている「YOLO(you only live once)」ではないだろうか。

 韓国で4月に発表され、今回の武道館で日本語バージョンが初披露された新曲「EVERYDAY」はトラップベースのポップスだが、アレンジはあくまでミニマルで軽やかだ。音楽やライブそのものを遊ぶように楽しんで見せる彼らのステージと同様に、“一度きりの人生や若さを悔いのないように楽しもう”という今の時代の空気感を、歌詞に頼らず曲そのもので切り取って見せる。そんなことができるのが、今のWINNERなのかもしれない。

 大人になりきれない青年期の鬱屈がこめられたナンバー「IMMATURE」の前にスンユンが叫んだ「一緒に青春になりましょう!」という言葉は、今回のツアータイトルである「You‘ll always be young」だけでなく、今のWINNERの音楽スタイルとも重なるように感じる。

 最後はライブで盛り上がるおなじみのナンバー「Just Another Boy」から、デビューのきっかけとなったサバイバル番組『WHO IS NEXT:WIN』出演時に初めて作られたWINNERの原点とも言える「SMILE AGAIN」で本編は締めくくられた。

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