雨のパレードが日比谷野音で描いた“ひとつの円環” 『COLORS』ツアー最終公演を見て

雨のパレードが日比谷野音で描いた“ひとつの円環” 『COLORS』ツアー最終公演を見て

 雨のパレードがワンマンツアー『COLORS』の最終公演を4月21日に日比谷野外大音楽堂で開催した。2016年のメジャーデビュー以降、3枚のフルアルバムを通じてトライしてきたことがひとつの円環を描いたような、確かな手ごたえを感じさせるライブとなった。

 ライブ序盤は最新作『Reason of Black Color』からの楽曲を並べ、福永浩平がソウルフルな歌声を聴かせる「You & I」、ハウス/テクノ路線のダンスチューン「Dive」、雨パレ流オルタナティブロックといった感じの「Horizon」と、曲調は見事なまでにバラバラ。『Reason of Black Color』というタイトルは、バンドが持っている様々な「色」を楽曲ごとに突き詰め、それを混ぜ合わせると「黒」になるという意味で、中盤でトランペットにSOIL & “PIMP” SESSIONSのタブゾンビを迎えて披露された「Hometown」と「ice」なども含め、『COLORS』というツアータイトル通り、その多彩な色合いが如何なく発揮されていたと言えよう。

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 そして、それはファンクやヒップホップなども含め、多彩なリズムを使い分けるドラムの大澤実音穂や、「(soda)」でのエフェクティブなプレイも印象的だったベースの是永亮祐など、各メンバーがプレイヤーとして高いポテンシャルを備えているからこそ可能なこと。

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 歪んだシンセが幾重にも折り重なってレイヤーを作り出す「Reason of Black Color」では、アルバムのジャケットのように様々な色のインクが混ざり合い、黒へと変化していく様子がステージ全体を使って映し出され、オーディエンスに強烈なインパクトを与えていた。

 そんな中でこの日特に存在感を放っていたのが、ギタリストの山崎康介。「You & I」ではジョン・メイヤーばりの味のある泣きのソロを披露し、「Horizon」ではノイジーなファズギターをかき鳴らし、かと思えば、中盤のアコースティックコーナーではアコギを演奏して、「H.Apartment」と「You」で福永の歌にしっかりと寄り添ってみせた。

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 メジャーデビュー以降はマルチプレイヤーとして、アナログシンセに向かう場面も多くなっていたが、この日のプレイはギタリストとしての確かな資質を改めて裏付けるものだったと言える。また、息継ぎの少ない難曲である「You」を、弾き語りスタイルで表現力豊かに歌い切った福永のボーカリストとしての成長も、特筆すべきものがあった。

 もうひとつ、この日のポイントとなったのが、終盤のクライマックスを「Change your mind」、「epoch」、「Count me out」という4つ打ち主体の楽曲で作り上げたこと。これまでのライブでクライマックスを飾ってきた「new place」や「Petrichor」といったインディーズ時代の名曲が前半の山場で早々に披露されていただけに、終盤はどの曲がくるのかと思ったが、メジャーデビュー以降の、しかもシングルでもない楽曲でしっかりと盛り上げたというのは、これまで積み上げてきた成果の表れだったように思う。

 もちろん、「4つ打ち」と一言で言っても、00年代後半のバキバキのエレクトロでもなければ、2010年代前半のロックバンド的な4つ打ちでもなく、ピークタイムとなったのはエレクトロハウスな「Count me out」である。歴史ある「ロックの聖地」=日比谷野音で、この曲が高らかに鳴らされたという事実は、雨のパレードが世界中の同世代と共鳴しながら、ここ日本で新たなスタンダードを打ち立てつつあるということを、確かに証明していた。

 アンコールで披露されたのは、雨のパレードのナンバーの中でも殊更に明るい「What’s your name?」。『New generation』、『Change your pops』と、強いメッセージを掲げた2枚のアルバムを経て、『Reason of Black Color』では自らの「色」を見つめ直し、「明」も「暗」も含めて、素直に、エッジーに表現したという意味では、非常に象徴的な一曲だと言っていいだろう。ひとつの円環を描いた先で、ここからまたどこにでも行ける。野音の解放的な空気は、そんなバンドの現在地を感じさせるものでもあった。

(写真=田中聖太郎)

■金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『ナタリー』『Real Sound』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』『bounce』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。

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