TOKIOの“建て直し力”に期待したい 一連の報道を受けて感じたこと
TOKIOが東日本大震災以降続けてきた、福島県の農産品PRキャラクター。5月7日に内堀雅雄知事が、引き続きTOKIOを起用する意向を発表した。同県によると、400通を超える起用継続を願う声が届いたという。5月6日、山口達也はジャニーズ事務所との契約を解除。TOKIOは城島茂、国分太一、松岡昌宏、長瀬智也の4人で続けていくことになる。
平穏が壊れたとき、人は悲しみに打ちひしがれ、呆然と立ち尽くしてしまう。どうしてこうなったのか、何が悪かったのか、なんとかならなかったのか……。起きてしまったことは決してなかったことにはならない。誰かが誰かを傷つけた罪は消えないし、どんなに誠意を尽くしても壊れてしまったものは元通りにはならない。それでも当事者はもちろん、その周囲の人は悲しみを背負って生きていかなければならないのだ。
もちろん人は、すぐに気持ちの整理をつけられない。きっと、TOKIOについても“もう以前と同じようには見られない“という人もいるだろう。どんなに安全な農作物だとわかっても、以前と同じように食べられない人がいたように。それでも生活は続く。絶望から一歩踏み出すために必要なのは、問題を切り離して考える冷静さだ。長年TOKIOが積み上げてきた功績と、今回の悲しい出来事を分けて考えていくことから新しい歩みが始まる。
TOKIOがこれまで続けてきた活動は、私たちが近代化と共に置いてきてしまったものに、改めてスポットライトを当てるようなところがあった。その土地々々に受け継がれてきた生きる知恵。隣人と協力して営む生業。そこには古き良き日本人の絆を感じさせるものだった。そして震災後、原発事故の風評被害に苦しんだ福島のために無償でPRキャラクターを買って出た。その事実も、CMを手掛けた福島県出身のクリエイターから明かされるという粋な計らいに“やっぱりTOKIOだ“と、うれしくなったのを覚えている。私たちはいつしかTOKIOに、日本人の良心を投影していたのかもしれない。だからこそ、今回の問題は日本中に大きな衝撃を与えたのだ。