KAT-TUN、SHINee、Mrs. GREEN APPLE、西野カナ、JUJU……キャリアの節目を飾る重要作

西野カナ『アイラブユー』

 西野カナの新作『アイラブユー』表題曲の主人公は彼氏を“キミ”と呼ぶ女の子。ふたりの日常をシンプルな言葉で描き、一緒にいる時間を重ねるごとに大切な存在になっていく様子を綴りながら<やっぱり私はキミでよかった><本当にありがとう/今、ふと思った>という何気なく大切な思いにつなげるリリックは、まさに西野カナの真骨頂。ヒップホップ的なスタイルをさりげなく取り込んだボーカル、洋楽のトレンドをわかりやすいJ-POPに落とし込むトラックメイクなど、一分の隙もないプロダクションによるニューシングルである。本作によってデビュー10周年のアニバーサリーイヤーが始まるわけだが、このブレのなさ、アーティストしてのブランディングの確かさこそ、彼女が10年に渡って同世代の女性に支持されて続けている理由だろう。

西野カナ 『アイラブユー』MV(Short Ver.)
JUJU『JUJU BIG BAND JAZZ LIVE “So Delicious, So Good"』

 昨年の10回目の“JUJUの日”(2017年10月10日)に東京国際フォーラム ホールAで行われた、総勢27名のビッグバンドとの共演を音源化したライブ盤『JUJU BIG BAND JAZZ LIVE "So Delicious, So Good"』。アレンジを手がけた島健(Pf)を中心に山木秀夫(Dr)、高水健司(Ba)、村田陽一(Tb)、金原千恵子(Vio)などの凄腕ミュージシャンたちが参加したバンドのゴージャズなサウンドのなかでJUJUが「Night And Day」「Lullaby Of Birdland」といったスタンダードナンバーをセクシーかつシックに歌い上げる本作は、幼少の頃からジャズに親しんできた彼女のルーツを示すと同時に、ジャズシンガーとしてのJUJUの力量の高さを改めて実感できる作品と言えるだろう。女性にとっての恋愛をテーマにした楽曲をうっとりと堪能できる逸品だ。

JUJU 『It Don't Mean A Thing』live movie / 4.18 発売 「JUJU BIG BAND JAZZ LIVE “So Delicious, So Good”」より

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

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