BRADIOが語る、ソウルミュージックに等身大の思いを乗せる理由 「今の時代と一緒にやっていく」

BRADIO、ソウルミュージックを歌う理由

「今生きている僕のソウルを反映できたら」(真行寺)

――貴秋さん、リリックはどんなイメージで書きましたか?

真行寺:仮歌の段階でサビの歌詞が出ていて、そこからふくらませていった感じです。すごくシンプルで、前回の「LA PA PARADISE」の時もそうでしたけど、ソウルミュージックの典型として、ひとりでくたばってて、そこに女の子が現れて、恋に落ちて、踊っちゃうみたいな、すごくシンプルなストーリーですね。

――<チャンス到来>というフレーズがあって。カップリングの「Once Again」にも同じ言葉が出てくるんですよね。これはたまたまですか。

真行寺:たまたまです。最近けっこうそういうこと、あるんですよ。ここのところ自分の中で「ソウルミュージックって一体何なんだろう?」という壁にずっとぶち当たっていて……今もその最中なんですけど。僕が好きなソウルミュージックと、僕らがやるソウルミュージックって、歴史の背景が違う。本家のソウル、ファンク、ブルースとか、彼らが生活の中で感じてきたつらいことや悲しいことを、そのまま歌うのがブルースだったり、楽しいことに変えるのがソウルだったり、神様にお願いするのがゴスペルだったり、そういう背景がない僕が歌うソウルミュージックっていったい何なんだろう? ということにぶち当たっていて。

――はい。

真行寺:やっぱりソウルミュージックって、オーセンティックであるべきだと思うんですね。音楽を通して夢を見てもらうことも大事なんですけど、やっぱり今自分が思っていることが歌の中に自然と投影できたらいいなと思っている、今はなんとなくその段階にいるんですけど、それが今の歌詞にも出ていると思っていて。昔は、同じ言葉を使ったらありきたりでまずいかなと思うこともあったんですけど、でも同じ人間が書いているし、そんなにしょっちゅう違う気持ちにはなれないし、その時に感じているものをダイレクトに音楽に入れたいなという気持ちがすごくあって。

――うん。わかります。

真行寺:だから「きらめきDancin’」は、さっき話したソウルミュージックのストーリーがあって、女の子と恋に落ちて一緒に踊ろうぜというストーリーの中に、本当に今生きている僕のソウルというものが反映できたらいいなと思って、そういう言葉をポンと入れてみました。カップリングの曲にも自然とそれが出てしまったというか、あとから「いつのまにかこんなこと書いてるな」というのはありましたね。「Once Again」のほうが昔からあった曲で、今の気持ちを歌詞に書いたら、こっちに寄って行った感じです。僕らがやるソウルってこういうことなのかな? って、今は思ってますね。

――大きな方向がある気はしますね。チャンスを探して、夢に向かって、つらいこともあるけど、やるしかないだろっていう等身大のメッセージは、この2曲に限らず今のBRADIOに共通している気はします。それこそメンバーチェンジという出来事だって、ある意味でピンチをチャンスに変える絶好の機会なわけじゃないですか。

真行寺:まさに。

――それで<チャンス到来>というフレーズが出てきたから、「なるほど」と思ったんですよね。それはさておき、タイトルの「きらめきDancin’」って、えらいインパクトですよね。ちょっと前に「ときめきダンシン」っていうのもありましたけど。

真行寺:シザー・シスターズですね。

真行寺貴秋

――そうそう。別に関係ないですか?

真行寺:いや、大いにあります(笑)。よくある邦題的なやつがいいなと思っていた時に、マネージャーが「絶対これでしょ」と。僕らはずっと昔の音楽を追いかけて聴いてきたんですけど、それだけじゃなくて、今の時代と一緒にやっていかないとダメだということも感じていて、YouTubeとかで探す時にも、タイトルってすごく重要だと思うんですよ。「きらめきDancin’」というタイトルで引きつけられて、ポチッと押すことで曲が広まっていく。その入り口として、パンチのあるタイトルは必要だと思ったんですよね。

BRADIO-きらめきDancin'(OFFICIAL VIDEO)

――そしてミュージックビデオ、この取材の時点ではまだ完成してないんですけど、ものすごい力作だと聞いてます。

大山:いやー、今回はすごいことになってますよ(笑)。映像と曲のマッチ力がすごくて、本来あるべきミュージックビデオが作れたと思ってます。

――みなさんぜひ、ポチッと押していただければ。あらためて「Once Again」はどんな曲になりましたか?

大山:僕らはこの質感のジャンルはけっこう得意だと思っていて、逆に「きらめきDancin’」のほうが、新しいグルーヴを楽しんでいる気がしてます。言葉にするのが難しいんですけど、心に何かが残っていく感じの曲なんですよね。テンポが早くて疾走感があって、でも余韻がしっかりと残せる曲になったと思っています。

――「きらめきDancin’」が土着的なソウル/ファンクなら、「Once Again」はストリングスをフィーチャーした、シティポップっぽさもあるアダルトでスムースなソウルミュージックになっていますね。

酒井:「Once Again」は途中のスキャットを3人でやってるんですけど、めちゃくちゃ難しかった。最初は二人だけだったんですけど、聡一が「3人でやったら面白いんじゃね?」って。「嘘だろー?」と思ったんですけど(笑)。

大山:どのぐらい難しいことなのかもわからずに誘いました(笑)。

酒井:でも、これをライブでできたら楽しいし、BRADIOにしかできないことだろうなとは思いましたね。曲自体は、個人的にはすごいエモい曲で、元気になりたいから聴くという曲ではないなとは思ってるんですよね。レコーディングが終わってから、今も毎日聴いてます。それぐらい好きな曲です。あとはライブで、どれだけ世界観を表現できるか。

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