YUKI、GLIM SPANKY、田島貴男&長岡亮介……ボーカルの深みを堪能できる新作

 メロディ、リズム、感情を同時に表現できるボーカルは、楽曲のクオリティをもっとも大きく左右する要素のひとつ。ボーカリストのテイスト、実力によって、曲の好みを決めているリスナーも多いのではないだろうか? そこで今回は“声の深みを堪能できる新作”を紹介。YUKIのソロデビュー15周年を記念したベストアルバムからThe Birthdayのライブ盤まで、個性と表現力を共存させた歌の素晴らしさを味わってほしい。

YUKI『すてきな15才』

 YUKIのソロデビュー15周年を記念したシングルコレクション『すてきな15才』。「プレイボール」から「フラッグを立てろ」まで2012年以降にリリースされた全シングルに未発表曲「ダーリン待って」「I love you」「穴」、歌詞提供曲「手紙」のデモ音源を加えた本作(全15曲)から感じられるのは、YUKIの最大の武器である声の可能性を探りながら、1曲1曲丁寧に制作を続けてきたこの5年間の軌跡だ。エレクトロ系のサウンドにエディットしたボーカルを乗せた「誰でもロンリー」、声自体をトラックの一部にした「好きってなんだろう…涙」、ソウルミュージック直系の有機的なアレンジのなかでエモーショナルな歌声を響かせる「tonight」。凛とした姿勢、キュートな佇まい、前向きな意志を同時に伝える彼女の歌は常に進化を続けているのだ。

YUKI 『フラッグを立てろ』
GLIM SPANKY『愚か者たち』

 2018年5月12日に初の日本武道館公演が決定。オーセンティックなロックミュージックを軸にした音楽性をキープしたまま、順調に活動の規模を拡大しているGLIM SPANKYの2018年最初のシングル『愚か者たち』表題曲は、ブルース経由のヘビィなギターリフを中心としたミディアムチューン。作詞にいしわたり淳治、編曲に亀田誠治が参加する王道のメジャー路線でありながら、松尾レミ(Vo / G)のハスキーボイスで<なあ 愚か者たちよ ヤケになんのは早いよ/もう一度だけ考えてみろって>とシャウトした瞬間、純度100%のロックチューンとして成立してしまうのは“流石”のひと言。彼女のボーカルを際立たせながら、ギタリストとしての存在感を提示する亀本寛貴のプレイにも注目してほしい。

GLIM SPANKY「愚か者たち」Music Video(Short.ver)
新山詩織『しおりごと-BEST-』(通常盤)

 ロックど真ん中の松尾レミとはタイプが違うが、“一瞬で感情を伝えることができるボーカル”という意味ではまったく引けを取らない新山詩織の初のベストアルバム『しおりごと-BEST-』。デビュー曲「ゆれるユレル」(2013年)からCharaとのコラボレーションによる最新曲「さよなら私の恋心」(2017年)までを網羅した本作には、16才から20才に至る5年間の変化と進化が生々しく刻み込まれている。葛藤と不安に包まれながらも、どこかにあるはずの希望を探し続けるーー10代特有の揺れる感情をリアルに描き出す楽曲はもちろんだが、そのなかに込められた思いを一発でリスナーに伝える声の素晴らしさこそが、シンガーソングライターとしての彼女の魅力だろう。

新山詩織「さよなら私の恋心」MV

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