V6 井ノ原快彦、なぜ『あさイチ』視聴者から愛される? 想像力を活かした誠実なMCぶり

 「今日は、お母さんたちのそこ(気持ち)だけに焦点をあてています」3月28日放送の沖縄基地特集で、井ノ原はそう明言した。物事は観る人の立場によってその是非は変わってくる。誰の視点に立ったものなのかを明確にすることで、それ以外の立場の人の輪郭が見えてくる。マスメディアが発信した情報はある特定の立場の人の意見であり、そうではない意見もあっていい。だが、その声を発信するのであれば、自分の立場を明らかにすること。匿名で叩くのと、多様な意見を交わすのは、全くの別物であることを示してくれた。

 もちろん、情報番組にも様々なスタイルがあっていい。視聴者が、それを選ぶことができる時代だからだ。だが、誰かを笑い者にしたり、偏見を押し付けあっても「持ちつ持たれつ」で共存していくことは難しい。異なる感じ方を冷静に捉えること、誰も傷つけないように配慮することでしか、私たちは歩み寄れないのだから。井ノ原が見せてくれた『あさイチ』の誠実さが、今後も続いてほしい。そして、いつかまた井ノ原がMCを務める、思いやりに溢れた番組が生まれることを願ってやまない。

(文=佐藤結衣)

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