w-inds.が語る、独自の音楽へのこだわりと変化「デビュー当時の雰囲気が戻ってきた感覚がある」

w-inds.が語る音楽へのこだわりと変化

ラップパートの発声・リズムの工夫

千葉涼平

――ラップも重要だったんじゃないですか? 偶然にもブルーノ・マーズの「Finesse (Remix) feat. Cardi B」の雰囲気とリンクしているような雰囲気で同時代性を感じました。

慶太:確かに、ラップはかなり重要ですね。

涼平:このパートはなかなか大変でした。

慶太:今回のラップは、完成までに何回も録り直したんですよ。

龍一:レコーディング中に、僕ら自身も「もっとよくしよう!」という気持ちが出てきて。

涼平:そうそう。「まだいける!」ってね。

龍一:元になるものはリリックも含めて慶太が考えてくれたものがありましたけど、僕と涼平のそれぞれのリズム感もあるので、僕ら自身でも声の重ね方などをレコーディングしながら調整しました。慶太のフェイクを入れるというアイデアも、レコーディング中に出てきたものですね。最初に涼平のラップが来て、そこから僕のラップがはじまって――。楽曲の終盤のピークになるようなパートでもあるので、発声法も色々と考えました。日本語の発音をわざと濁したりもしたし、涼平はいかに声を重くするかということも工夫していて。

慶太:涼平くんはもともと声が綺麗だからね。これは本当に性格がそのまま出ているということなんですけど(笑)。その綺麗な声を汚していく、という。

――まさに「Dirty Talk」ですね(笑)。

涼平:(笑)。最近は、慶太の声に対するこだわりもすごくなってきているので。

――日本語でラップをするには、色々と工夫しなければいけないこともありますよね。

慶太:やっぱり、海外の人たちと比べたときに、発声の違いは大きいですよね。海外の人がやっている発声法をどう日本語に置き換えるかということは考えますし、日本語の角をなくすことも考えていきました。あとは、リズムをわざとずらしていくということですね。

龍一:実際、僕のラップパートはかなりリズムをずらしていると思います。

――涼平さんと龍一さんで、ラップのタイプの違いが綺麗に出ていると思いました。

慶太:アタックの遅い声とアタックの早い声だと、遅い声の方がずらしたときに馴染みやすいというのがあって、w-inds.で言うと龍一くんの声は涼平くんよりもアタックが遅いんですよ。それもあって、何回もめちゃくちゃやり直しましたね。どこだっけ? (歌詞を見ながら)<上がる体温/感じよう/ずっとこのまま朝まで>のところ?

龍一:いや、全部やったよ!(笑)。今歌詞を見た瞬間に、あのときの大変さが蘇ってきた……。何回も何回も、ずっとずらすんですよ(笑)。

全員:はははは!

龍一:でも、いい意味で遊びのような感覚で、すごく楽しくやれたと思いますね。

歌詞は曲の中でピークになるような場所から考える

緒方龍一

慶太:ラップパートの歌詞については、僕は2人のキャラクターを理解しているので、涼平くんが言いそうなことや、涼平くんが言ってみんなが喜びそうなことを考えていきました。というか、今回の歌詞はラップから書きました。サビは世界観のイメージがあったんで、ラップの歌詞から書きはじめて。

龍一:マジで?! そうだったんだ。

――歌詞全体で言うと、『Dirty Talk』がリリースされる3月14日はw-inds.のデビュー日であると同時に、ホワイトデーでもありますよね。だからこそ恋愛をテーマにしたものになった部分もあったのかと思ったのですが、この辺りはどうですか?

慶太:それも偶然ですね(笑)。

龍一:でも、慶太もこの間のクリスマスのときにTweetしていたけど、僕らのことを応援してくれる人たちに新しい曲を届けるというのは、一番喜んでくれるプレゼントだと思うんですよ。そういう意味では、いいタイミングになったんじゃないかと思います。

――「涼平さん/龍一さんがこんなことをラップしたら喜んでくれるだろうな」ということを考えていく、という話とも繋がっていることですよね。

龍一:ぜひ歌詞カードを見ながら楽しんでもらえると嬉しいですね。

――今回の「ニュージャックスウィングをアップデートする」作業はどうでしたか? フューチャーベースを取り入れた前回の「Time Has Gone」はしっとりとした質感の楽曲だったと思うので、今回はまた違う種類のキラーチューン感がありますよね。

慶太:確かに、最近の楽曲では「Dirty Talk」のように普通に歌う機会がなかったので、今回はがっつり歌ってやろうとは思っていました。歌もキーがかなり高いですし。

龍一:この曲は、カラオケでぜひ一度チャレンジしてもらいたいです(笑)。きっと心が折れると思いますよ。この曲、音域がずっと「hiD(ハイディー)」なんですよ。

慶太:「このBメロが歌い切れるか?!」ってね(笑)。

――そしてカップリングの「If I said I loved you」はミディアムバラードですが、実はよく聴くと、トラックにはトラップによく使われる細かいハイハットが挿入されています。「今の慶太さんがバラードを作ると、こういうトラックになるんだな」という驚きがありました。

慶太:「バラードに使ってみても合うかな?」と思ってやってみたら、意外に合いました。セオリー通りに考えると、これってトラックメイカーの人たちもなかなかやらないアイデアじゃないかと思いますし、もしも誰かに楽曲提供したとしても、レコード会社の人に「これはないんじゃないですか?」と言われそうですよね(笑)。でも、今のw-inds.は僕たちの曲を僕が作っているからこそ、自分もOKだし、みんなもOKになるというか。

涼平:「If I said I loved you」は、歌の主人公の心情が音からも伝わってくるところが面白いですよね。話の展開が音に反映されていて、途中で雨の音も入っていて。

龍一:すごくドラマチックな曲ですよね。歌詞と曲とがリンクしている様が美しくて。

慶太:この曲は雨の音を入れたくて、雨に合う歌詞とメロディを考えていきました。なので、歌詞も(雨音が挿入される)Bメロから書いていきましたね。僕はだいたい、曲の中でピークになるような場所から歌詞を考えるんですよ。それを先に考えて、あとは「そこまでどうやって持っていくか」を考える。この曲ではまず雨のパートを書いて、最後の部分を「土砂降りの中で想いを叫び続ける」イメージにして、AメロとBメロは「失ったものを思い返す」ようなものにして。自分の中で作ったストーリーをもとに書いていきました。

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