『DAICHI MIURA BEST HIT TOUR in 日本武道館』(2月15日公演)レポート

三浦大知は未来を志向し続ける 集大成の武道館で示したエンターテイナーとしての新たな可能性

 三浦大知が、過去最大の全国ツアーの追加公演として行った『DAICHI MIURA BEST HIT TOUR in 日本武道館』。

 ファイナルとなった2月15日、開演前からその期待度の高さはすごかった。武道館いっぱいに響き渡る手拍子と大歓声、鳴り止まない“大知コール”。定刻を過ぎた頃、暗転のちステージ上の赤い紗幕が落ちると、マイケル・ジャクソンを思わせる白のジャケットと黒のパンツを身にまとった三浦大知が、一筋のスポットライトを浴びて立っている。会場の期待を一身に背負う姿がなんとも頼もしい。ダンス、歌唱力、スターとしての輝き。この日のステージからは、そんな三浦大知の魅力が様々な角度から伝わってくるパフォーマンスを見ることができた。

三浦大知

 ハイライトは1曲目の「Cry & Fight」から早速訪れた。この曲の後半部分には、無音の中でダンサーとともに動きのみをシンクロさせるパートがある。三浦大知は2017年、いくつもの音楽番組でこの“無音シンクロダンス”を披露しその名を一躍広げた。「Cry & Fight」は三浦大知の代名詞のひとつと位置付けられる楽曲だ。その後も、「(RE)PLAY」では華麗なターンやハイキックなどを交えながらキレのある動きを見せた。どんなに激しい振付であろうとも、三浦大知の歌声はぶれることなく、一本の芯が通っている。「Can You See Our Flag Wavin’ In The Sky?」などでは、ファルセットでの歌唱やフェイクも取り入れ、歌声でも会場を魅了していった。

 スタイリッシュな映像をバックにダンスで魅せた前半から一転、7曲目の「Blow You Away!」では、ステージにはバーのセットが登場し、LEDパネルを使い、ダンサーと2人で映像に出入りするようなコミカルな芝居がかったパフォーマンスも見せ、「Your Love」の冒頭ではアコースティックギターを手にした。三浦大知はオールマイティにすべてをこなしながら、ひとつひとつを中途半端に見せるようなことは決してしない。一瞬たりとも乱れることのない身体の動きと、20年の経験に基づく“楽しませる”ことへの純粋な熱意が、およそ2時間のショーを濃密にしていく。

 この日のライブには、KREVA(KICK THE CAN CREW)、千晴、宇多丸(RHYMESTER)など、これまでの活動で出会ってきた旧知の仲間も登場した。三浦大知のことを、宇多丸は「日本の音楽界を救う天才」と呼んでいたが、MIYAVI、絢香なども含め、ジャンルを超えて多くのアーティストにコラボを熱望される三浦大知。おそらく彼は、たとえば、こういった歌は歌わない、というような制限を自分に設けたりはしていないだろう。常にオープンで柔軟な姿勢とチャレンジ精神を持ち、好奇心の赴くままに、自身のスキルと経験で立ち向かう。それが、三浦大知が多くのアーティストを引き寄せる理由なのではないだろうか。

 

 また、「ハートアップ」では絢香がゲストとして登場した。小林武史がプロデュースを手がけたこの曲は、三浦大知のディスコグラフィーの中でも特に王道感のあるJ-POPナンバーだ。抑揚のあるメロディを伸びやかに歌い上げ、絢香の歌声と交わりながらその抜群の歌唱力を発揮した。

 ロングトーンを響かせた「Darkest Before Dawn」、ダンサーの菅原小春とともに官能的なダンスを見せた「Unlock」と、ライブ後半ではその多面的な才能をトータルで発揮した。「EXCITE」では、ストリートダンス×男子新体操のプロ集団であるBLUE TOKYOがステージに登場。綱や輪を使ったパフォーマンスを見せ、アートのような前衛的な要素と、アクロバティックな身体表現が一体化したスペシャルなショーが繰り広げられる。そしてライブ本編は「music」で締めくくられた。

関連記事