Little Glee Monsterが横アリ公演で見せた、ポジティブな空気に満ちたステージ

リトグリ、横アリ公演レポート

 と同時に、デビュー4年目に突入したこのタイミングだからこそ「グループとしての原点を見つめ直す」絶好の機会でもあり、そういった意識がライブ中盤に用意されたメドレーコーナーに反映されていた。さらに、メジャーデビュー前後の楽曲と最新ナンバーが並列するセットリストからもそういった意識を受け取ることができ、初期の楽曲からは3〜4年前とは異なる頼もしさや力強さ、さらには今の彼女たちだからこそ表現できる「大人と子供の間」感が垣間見ることができた。それは昨年の武道館公演で目にしたものとも異なるもので、改めて5人がこの短期間で大きな成長を遂げたことを感じさせる瞬間だった。

 ライブ終盤では芹奈が涙ながらに自身の思いを吐露する瞬間があったが、終始堂々としているように見えた彼女も、この大舞台を前に今まで以上の緊張があったのかもしれない。アンコールでのとある楽曲中で見せた、涙を流しながらエモーショナルに歌うシーンは、そういった感情が一気に爆発した瞬間だったのだろう。涙をにじませ素直な気持ちを口にするそんな芹奈の肩に優しく腕を回すmanaka、随所で力強い歌を響かせグループの大黒柱のような役割を務めるかれん、ショートカットにイメチェンした姿に驚きの声が上がりながらも終始晴れの舞台を楽しむ様子が見受けられたMAYU、ガオラーの笑いを誘う天然発言とは相反する大人びた歌声と表現力に耳を奪われたアサヒ……以前のインタビュー(参照:Little Glee Monsterが語る、紅白出場の喜びと3rdアルバムでの“音楽的挑戦”)にもあったが、今の5人のバランス感だからこそ成立するものが確実にあり、それが最良の形で表れたのがこの日のライブだったのではないだろうか。

 本人たちやスタッフが感じるツアー初日らしい荒さはあったのかもしれない。しかし、筆者の目にはそういったマイナス面はあまり入ってこなかったし、むしろ力強く張りの良い歌声はベストといえる状態だったように思う。2カ所4公演という短いツアーではあるものの、最後の大阪城ホール公演まですべての公演でベストを更新し続けてほしいと願わずにはいられない……いや、今の彼女たちにならそれが絶対にできると確信している。

■西廣智一(にしびろともかず) Twitter
音楽系ライター。2006年よりライターとしての活動を開始し、「ナタリー」の立ち上げに参加する。2014年12月からフリーランスとなり、WEBや雑誌でインタビューやコラム、ディスクレビューを執筆。乃木坂46からオジー・オズボーンまで、インタビューしたアーティストは多岐にわたる。

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