フルカワユタカ×LOW IQ 01×荒井岳史 特別鼎談 「やっぱり人のつながりが一番だ」

フルカワ×LOW IQ 01×荒井鼎談

自分だけじゃ出せないものを出してもらえる(フルカワ)

ーーフルカワさん自身は昨年1月に発表した2ndソロアルバム『And I'm a Rock Star』から最新アルバム『Yesterday Today Tomorrow』に向かう上で、どういった作品を作ろうと考えていましたか?

フルカワ:一昨年ベボベのサポートメンバーをやったじゃないですか。それこそさっき荒井が言ったようにくすぶってる時期があって、どんどん時間だけが過ぎていくみたいなのが2年ぐらいあって。そんなときにベボベのギターがいなくなったので助けてくれってことで、ツアーを回って結構な人前でギターを弾いた。「これがミュージシャンだよな」と自分の中で高揚感があったところで、今度は市川さんから誘われるんですよ。そこからはツアーに連れていってもらったり、今年もフェスに連れていってもらったりして、その先々で人と喋ったりもした。それを経験して、いろいろ感じることがあったんです。

ーーそれは具体的にどういうことですか?

フルカワ:以前は全部ひっくるめて自分ひとりでやらないと、自分の納得いくものはできないと思い込んでたんですね。いろんな人の意見を聞くと薄まっちゃうし、周りに気を遣うと自分が作りたいものができないと。でも今は、むしろいろんな人とやることで自分だけじゃ出せないものを出してもらえるし、そっちのほうが自分の本質を出せる気がするんです。

LOW IQ 01:やっと気づいたか。

フルカワ:市川さんの横でギターだけを弾く、しかも自分の曲じゃないわけですよ。そこで自分の曲だけ弾いてたらわからなかったことにも気づけたし。ちっちゃい話ですけど、こないだFRONTIER BACKYARDのツアーに行ったときも(渡邊)忍さん(ASPARAGUS)に替え歌みたいなことをInstagramに3日連続で上げられて、それがちょっと楽しかったりするんですよ(笑)。そういった意味でも「だったら音源も誰かに参加してもらったほうが、絶対面白いものになるんだろうな」ってことになって、そこでプロデューサーをどうするかとなると、僕の場合はほかの選択肢はないくらいに田上さんでというのが1にも2にもあったので……という流れです。

ーーそれがこのカラフルさにつながっているんですね。

フルカワ:まあ田上さんですからね。あの人が作るものは、古今東西カラフルですから。そこはもう、そうなるんだろうなと思ってました。

ーーでも極まりましたよね。

フルカワ:極まってますか。そうですかね。

荒井:うん。めちゃくちゃいいアルバムですよ。聴かせていただきましたけど、ギターうめーなって。

ーー気持ちいいんですよね。

フルカワ:いやいやもう、やめましょうよ(苦笑)。でも、ありがとうございます。いいのができたなとは思ってます。

カッコいい言い方をすると花でも添えてあげようかなと(LOW IQ 01)

ーーそういう経緯で荒井さんやイチさんに声をかけたと。

フルカワ:いえ、それは田上さんなんですよ。僕は人にものを頼んだりできない、どう頼んでいいかわからないので。でも、いろんな声が入ったほうが立体的になるよということで、ゲスト選びの中で「まあ市川くんは絶対でしょ」って田上さんが言って。「え? 俺が頼むんですか?」「当たり前だろ!」ってことで、ツアーの移動中に「あの、つかぬことをお聞きしますけど」と聞いたら二つ返事で「やってやるよ、やってやるよ」と。荒井もこのストーリーの中にバンアパはいたほうがいいよっていう、田上さんのアイデアなんです。

ーーそこはおふたりとも、二つ返事で。

荒井:そうですね、それはもちろん。

LOW IQ 01:断る理由が見つからなかったし、今一緒にやってるから忙しいって言ったらバレちゃうから(笑)。

フルカワ:レコーディングスタジオも一緒だし、その日なんですけどって。

LOW IQ 01:僕は僕で、力になれるんだったらと。ちょっとカッコいい言い方をすると、花でも添えてあげようかなと思ったわけです。

フルカワ:すごかったですよ、本当に。約束の時間になってもいらっしゃらないなと思ったら、いきなりスタジオに降りてきて、ものすごいスピードでブースに入っていって「やるよ、やるよ」と(笑)。普通はちょっと座ってコーヒーとか飲んで「最近どう?」みたいな話でもするんでしょうけど、ブースに入ったらそのままヘッドホンをして歌って、一発でOKみたいな。

LOW IQ 01:まあ一緒に活動してるし、「最近どう?」って話すこともないので(笑)。顔も見ずにそのまま入って、最短時間で終わらせてやろうと。レコーディングってもちろんシビアになるものなんだけど、追い込むと煮詰まっちゃうこともあるから、リラックスした状態で気持ちよく挑むっていうところをちょっと見せないとなって。だから手を抜いたわけじゃなくて、一発集中してできるぞっていうところを見せたいなと思ったら、10分ぐらいで終わってしまって。

フルカワ:で、調子に乗って、別の曲にガヤも入れてもらって。

LOW IQ 01:たぶん、他の人のレコーディングも知らないと思うんですよね。

フルカワ:ゲストでもあんまり行かないですからね。

LOW IQ 01:僕も結構びっくりされるんですよ、いろんな人に。「えーっ、何このやり方? みたいな」。

フルカワ:ものすごいスピードで片付けていくっていって。

LOW IQ 01:せっかちなんですよ。俺、録ったらその場で聴かないもん。すぐに「次いってください」って言うし。

フルカワ:聴かないんですか?(笑)。ミスってるかもしれないのに。

LOW IQ 01:ミスった瞬間にわかるから、「ダメだダメ、すぐ止めて」ってなるし。

荒井:すごいっすね。それはせっかちだ(笑)。

フルカワ:むしろ荒井は「これで大丈夫?」って何回も気を遣ってくれて。

荒井:いや、何にも言ってこないから不安でさ(笑)。

LOW IQ 01:だから、お前はそういうムード作りが下手なの! 立ち上がって「お、いいね!」って言うとかさ。

フルカワ:それは田上さんがやってました。

LOW IQ 01:本当はお前がやらなきゃいけない作業なのに。そこは素直にならなきゃ。

フルカワ:思ってはいるんですけど、嘘くさいかなとか。

荒井:さすがに僕も、作品として残るものなのでちゃんとやらないとヤバいなっていう意識があったので。なのに、真剣にやっていても何も言ってくれないから大丈夫なのかなって。

LOW IQ 01:「荒井がよければ」なんて言うんでしょ?(笑) それ、一番困るんだよね。

荒井:だから言ったよね、「それだと困っちゃうんだよ」って。

フルカワ:すみません(苦笑)。

荒井:いや、弾き語りの曲だったからね、余計にシビアになっちゃって。

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