三代目 J Soul Brothersはどんな“未来のビジョン”描く? ふたつの“METROPOLIZ”ツアー考察
三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBEのライブパフォーマンスは、この2年間で驚異的な進化を遂げた。2016年11月から2017年2月にかけて全国ドームツアー『三代目 J Soul Brothers LIVE TOUR 2016-2017“METROPOLIZ”』 (札幌振り替え公演は8月)を開催。さらに2017年9月から12月かけて続編となる全国ドームツアー『三代目 J Soul Brothers LIVE TOUR 2017 “UNKNOWN METROPOLIZ”』を行い、さらにスケールアップしたパフォーマンスを見せつけたのだ。本稿では1年以上に渡って開催されたふたつの“METROPOLIZ”ツアーについて検証してみたい。
『三代目 J Soul Brothers LIVE TOUR 2016-2017“METROPOLIZ”』
“METROPOLIZ”(=メトロポリス)というタイトル通り、ツアーのテーマになっているのはずばり“東京”だった。戦国時代、江戸、明治、大正、昭和、平成から100年後の未来まで、様々な年代の東京をモチーフにした映像を三代目 J Soul Brothersの楽曲とリンクさせる演出は、3年後に迫った東京オリンピックも意識したものだろう。そのコンセプトをもっとも端的に示していたのは、2016年のシングル曲「Welcome to TOKYO」。R&B、ヒップホップ、EDM、ダブステップを融合したハイブリッドなサウンド、和の要素を感じさせるメロディライン、東京の街を舞台にサイバー感覚に溢れた映像が広がるMVの世界観は、ツアー全体のイメージに直結していた。そこにはおそらく“日本を代表するグループになりたい”というメンバーの決意とプライドも込められていたのだと思う。
ドームを埋め尽くしたオーディエンスをとともに一体感を生み出すステージングも、このツアーの特徴だった。“ランニングマン”の「R.Y.U.S.E.I」、“シェアハピダンス”の「Share The Love」はもちろん、照明、レーザーの使い方、巨大なビジョンにメンバーを映し出すカメラワークを含め、巨大な会場をひとつにまとめる演出が随所に施されていた。PKCZ®(DJ MAKIDAI、DJ DARUMA、VERVAL)、BMXチーム、女性三味線奏者、ダンサーなど、幅広いカルチャーをつなげるステージング、そして、アッパー系の楽曲、じっくり聴かせるバラードなどをシームレスにつなげる構成も魅力的。特にEDM系のダンスチューンを大音量で響かせ、アリーナを何周もパレードしながら観客と至近距離でコミュニケーションを取る演出は“METOROPOLIZ”ツアーのもっとも大きな見どころだったと言っていい。
『三代目 J Soul Brothers LIVE TOUR 2017 “UNKNOWN METROPOLIZ”』
“UKKNOWN METOROPOLIZ”では、前回のツアーのコンセプトを踏襲しつつ、ディテールの精査とライブ全体のスケールアップを両立させることで、さらに質の高いパフォーマンスを実現していた。まず印象に残ったのは、前回のツアー以上にソロコーナーをバランスよく配したことで、メンバーの個性とスキルを体感できたこと。キレ味鋭い動きでダンス・スキルの高さを見せ付けたNAOTO、ドームの空間を活かした演出で観客を驚かせた小林直己、パワフルなダンスと濃密なグルーヴを感じさせるラップを披露したELLY、ダイナミックな振り付けでライブに効果的な刺激を与えていた山下健二郎、ひときわ大きな歓声を受けながら男っぽいパフォーマンスを見せた岩田剛典、そして、ソウルフルかつエモーショナルなボーカルで楽曲の世界観を生々しく描き出した今市隆二、表現力を向上させ、歌い手としてのさらに存在感を強く示していた登坂広臣。個々のセンス、アーティスト性をクローズアップし、グループ全体の多彩な魅力へと結びつけていたことは“UNKNOWN METROPOLIZ”の大きな収穫だった。
また、ライブ中に挿入される映像もバージョンアップ(特に小林直己が巨大なドラゴンを切り裂くシーンは迫力満点!)。LEDビジョンの画質、PKCZ®が登場したときのクラブ的な音響なども確実に向上していたように感じた。覆面ダンサーによるLEDパフォーマンスチームSAMURIZE from EXILE TRIBEや、LDHが運営するダンス&ボーカルスクール・EXPG STUDIOのダンサーを含めた総出演者は300名以上。ドームの会場全体を使ったスケールの大きな群舞は言うまでもなく、日本トップレベルだ。