<ハロプロ>20年間からベスト100曲を選出 独断だが偏見ではない楽曲レビュー(前編)

■041 まっさらブルージーンズ/℃-ute
作詞・作曲:つんく 編曲:高橋諭一
収録盤:℃-ute『まっさらブルージーンズ』(2006年5月6日リリース)

℃-ute 『まっさらブルージーンズ』 (MV)

 Berryz工房と同じく、ハロプロキッズから誕生したもうひとつのグループ、℃-ute。そのインディーズ1stシングルにして、解散する2017年まで常にライブ・キラーチューンであり続けた代表曲だ。笹本安詞が弾く、イントロや曲中で聴けるスラップ(またはチョッパー)奏法によるベースが印象的。振り付けも比較的簡単でファンが真似しやすいのも人気のポイントだろう。

■042 お願い魅惑のターゲット/メロン記念日
作詞:上田ケンジ 作曲:田中秀典 編曲:宮永治郎
収録盤:メロン記念日『お願い魅惑のターゲット / Crazy Happy!』(2006年6月10日リリース)

 メロン記念日前期の代表曲が「This is 運命」なら、後期のそれは本曲だろう。当初はライブ会場限定販売のインディーズ盤としてリリースされたシングルだが、オーソドックスなロックサウンドが見事にハマり、単純に良い曲としてファンの支持を得た。翌2007年にはメジャー盤として再リリースもされている。ある意味奇を衒いまくった「This is 運命」と、普遍的な「お願い魅惑のターゲット」は好対照ともいえる。

■043 ザ・ストレス (アカペラ Version) /安倍なつみ
作詞:森高千里 作曲:斉藤英夫
収録盤:安倍なつみ『ザ・ストレス』(2006年6月28日リリース)

 ハロプロの所属事務所の先輩アイドルにあたる森高千里の1989年リリースシングルを、安倍なつみが2006年にカバー。シングルのカップリングにはリミックス等が収録されており、その内の一曲がこの「アカペラ Version」である。ボーカルはもちろん、ヒップホップ流儀のボイスパーカッションなどもすべて安倍本人が担当しており、つまり完全に一人のアイドルによる音世界が構築されているわけで、ある意味究極のトラックといえる。

■044 SOME BOYS! TOUCH/後藤真希
作詞・作曲:つんく 編曲:田中直
収録盤:後藤真希『SOME BOYS! TOUCH』(2006年10月11日リリース)

 ソロデビュー以来、シングル曲ごとにサウンドのアプローチを変化させていた後藤真希だが、別の言い方をすれば芯が定まってなかったともいえる。だが2006年の15thシングル曲「ガラスのパンプス」、そして次作である本曲あたりからの、クラブサウンドを華麗に歌い踊る彼女の姿はようやくあるべき場所に落ち着いた感があった。特にこの曲での妖艶なダンスおよび歌詞は、他のハロプロメンバーが歌いこなすにはなかなか難しいだろう。

■045 メロディーズ/GAM
作詞・作曲:つんく 編曲:大久保薫
収録盤:GAM『メロディーズ』(2006年10月18日リリース)

 松浦亜弥と藤本美貴によるユニットがGAM。ユニット名は「Great Aya×Miki」の略で、GAMにはスラングで「足の綺麗な女の人」という意味もある。それもあってか高い歌唱力と色気を特に打ち出したユニットという印象があり、この2ndシングルでは情事後の朝を連想させるようなきわどい歌詞が特徴。MVのラストでは二人のキスシーンまでありファンの間で話題となった。カップリング曲の「ピアノ独唱 Version」では二人の歌声がより引き立つ。

■046 愛すクリ〜ムとMyプリン/美勇伝
作詞・作曲:つんく 編曲:大久保薫
収録盤:美勇伝『愛すクリ〜ムとMyプリン』(2006年11月22日リリース)

 モーニング娘。卒業後の石川梨華が新たに結成した3人組グループが美勇伝。日本女性の美しさと勇ましさを世に伝えていくというのがグループコンセプトで、ドメスティックさを打ち出した「カッチョイイゼ! JAPAN」というシングル曲もあるが、本曲では主にお色気をクローズアップ。バニーガール風の衣装でお尻を強調したダンスを見せる。こういう見る側が反応に困ってしまうような艶笑ソングもハロプロの一側面ではある。

■047 笑顔YESヌード/モーニング娘。
作詞・作曲:つんく 編曲:松井寛
収録盤:モーニング娘。『笑顔YESヌード』(2007年2月14日リリース)

モーニング娘。 『笑顔YESヌード』 (MV)

 いわゆる黄金期のメンバーが徐々に卒業していってもグループ自体は存続し続けるモーニング娘。だったが、32ndシングルとなる本曲では初顔となる松井寛が編曲を担当。のちに東京女子流への楽曲提供で名を上げる氏によるラグジュアリーなディスコサウンドは、ダンス☆マンによるそれとはまた異なった洗練さを見せていた。この数年後にプラチナ期と呼ばれることになる娘。の次なるピークを予感させる名曲。

■048 JUMP/℃-ute
作詞・作曲:つんく 編曲:山崎淳
収録盤:℃-ute『桜チラリ』(2007年2月21日リリース)

 ハロプロのシングルカップリング曲では、ライブで盛り上がるロック調楽曲が収録されていることが多い。モーニング娘。「ラヴ&ピィ〜ス! HEROがやって来たっ。」、Berryz工房「友情 純情 oh 青春」など。℃-uteでそれにあたるのが本曲だろう。明快かつスケール感のあるロックサウンドは、ベタだが有無を言わさぬ説得力がある。この曲も前述の「まっさらブルージーンズ」と同じく、キャリア初期から最終期まで愛され続けた一曲だ。

■049 鳴り始めた恋のBELL/音楽ガッタス
作詞・作曲:つんく 編曲:松井寛
収録盤:音楽ガッタス『鳴り始めた恋のBELL』(2007年9月12日リリース)

 ハロプロメンバーによる芸能人女子フットサルチームのGatas Brilhantes H.P.は2003年から活動を続けていたが、その選抜メンバーによるユニットが音楽ガッタスだ。フットサルからの選抜とはいえ、メンバーは吉澤ひとみから真野恵里菜まで新旧取り揃えた豪華なメンツだった。1stシングルの本曲は、「笑顔YESヌード」と同じく松井寛編曲による流麗なディスコサウンドが光る良曲となった。

■050 息を重ねましょう/安倍なつみ
作詞:久保田洋司 作曲・編曲:herOism
収録盤:安倍なつみ『息を重ねましょう』(2007年10月24日リリース)

 モーニング娘。結成当初からのオリジナルメンバーでありエース格だった安倍なつみ。グループ卒業後の2003年からソロ活動を始めて、本曲は10thシングルとなる。ゆったりとしたレゲエサウンドで心地よくリラックスできる一曲。安倍は他にもラテン調の「だって 生きてかなくちゃ」、中華テクノ風の「恋の花」など、決して派手ではないが確実な良曲が多い。つんく♂以外の作家の手によるミニアルバム『25 〜ヴァンサンク〜』も名盤。

後編へ続く)

ピロスエ
編集およびライター業。企画・編集・選盤した書籍「アイドル楽曲ディスクガイド」(アスペクト)発売中。ファンイベント「ハロプロ楽曲大賞」「アイドル楽曲大賞」も主催。

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