<ハロプロ>20年間からベスト100曲を選出 独断だが偏見ではない楽曲レビュー(前編)

■021 好きな先輩/モーニング娘。
作詞・作曲:つんく 編曲:高橋諭一
収録盤:モーニング娘。『4th「いきまっしょい!」』(2002年3月27日リリース)

 当時のモーニング娘。で一番下の後輩だった高橋愛ら5期メンバー4人が歌うユニット曲。<がんばります!先輩>というかけ声もある曲調はとにかくフレッシュ。そして長く続く娘。の歴史の中で、各時代の後輩メンバーがライブカバーで歌い継いでいるのが本曲の特徴。メンバーの卒業と加入を繰り返して進化し続けるモーニング娘。のある一面を象徴する一曲だ。収録アルバム『4th「いきまっしょい!」』は娘。2000年代前半期の名盤。

■022 ロマンティック 浮かれモード/藤本美貴
作詞・作曲:つんく 編曲:上杉洋史
収録盤:藤本美貴『ロマンティック 浮かれモード』(2002年9月4日リリース)

 モーニング娘。加入前はソロ歌手だった藤本美貴の3rdシングル。通称「ロマモー」。ドラマチックなサウンドが印象的な一曲だが、なぜかこの曲でファンによるコンサートでの独特な動作、いわゆる「ヲタ芸」を行うのが定着し、その代名詞的な楽曲となってしまった。藤本本人のライブはもちろん、ハロプロメンバーやインディーズアイドルのカバーなど、ありとあらゆる現場で一度かかれば盛り上がる、アンセム中のアンセム。

■023 I & YOU & I & YOU & I/タンポポ
作詞・作曲:つんく 編曲:永井ルイ
収録盤:タンポポ『All of タンポポ』(2002年9月4日リリース)

 メンバーチェンジにより第2期から第3期へ移行する直前のタイミングでリリースされたベスト盤『All of タンポポ』。そのアルバム用新曲として書き下ろされたのが、永井ルイ編曲によるこの曲だった。「乙女 パスタに感動」「王子様と雪の夜」などのブリティッシュ・ポップサウンドの担い手だった永井氏の手腕はここでも炸裂しており、第2期タンポポのラスト曲として特別な存在感を放っている。

■024 ブギートレイン'03/藤本美貴
作詞・作曲:つんく 編曲:鈴木Daichi秀行
収録盤:藤本美貴『ブギートレイン'03』(2003年2月5日リリース)

 藤本美貴ソロ時代の5thシングルで、この曲のリリース後にモーニング娘。へ加入する。ブギウギ要素を加味したハロプロ楽曲はいくつかあるが、一番の成功例がこの曲ではないだろうか。MVや歌番組ではハロー!プロジェクト・キッズのメンバーから選抜された数名がバックダンサーとして登場するのも楽しかった。2011年にはスマイレージが「ブギートレイン'11」のタイトルでカバー再録音、シングル『タチアガール』カップリング曲として収録。

■025 ね〜え?/松浦亜弥
作詞・作曲:つんく 編曲:小西康陽
収録盤:松浦亜弥『ね〜え?』(2003年3月12日リリース)

 元ピチカート・ファイヴのメンバーで渋谷系ムーブメントの中心的人物だった小西康陽が編曲を手がけた松浦亜弥9thシングル。つんく♂×小西康陽という組み合わせは、90年代に渋谷系を聴き00年代にハロプロを聴くようなリスナーにとっては夢の共演といえるだろう。サウンドもまさに渋谷系を彷彿させるフレンチポップステイストの洒脱なもの。資生堂のシャンプー「ティセラ」CMソングとしてパワープレイされていた。

■026 スクランブル/後藤真希
作詞・作曲:つんく 編曲:鈴木Daichi秀行
収録盤:後藤真希『スクランブル』(2003年6月18日リリース)

 モーニング娘。在籍中にソロデビューし、卒業後もソロ活動を続けていた後藤真希の7thシングル曲。様々な曲調にチャレンジしていた後藤ソロワークスだが、ここではソウル風味のさわやかなポップチューンを歌っている。コンサートのラストなどにピッタリな雰囲気の大団円感があり、後藤真希のポップな側面がよく出た一曲ではないだろうか。2015年にはJuice=Juiceがアルバム『First Squeeze!』にてカバー、こちらも名演。

■027 浮気なハニーパイ/カントリー娘。に紺野と藤本 (モーニング娘。)
作詞・作曲:つんく 編曲:守尾崇
収録盤:カントリー娘。に紺野と藤本 (モーニング娘。)『浮気なハニーパイ』(2003年7月24日リリース)

 田中義剛プロデュースによる「半農半芸」アイドルとしてデビューしたカントリー娘。は、活動初期ではカントリーやフォーク調のサウンドが目立っていたが、いつの間にかそういった縛りもなくなり多彩な楽曲を歌うようになっていた。メジャー5thシングルとなるこの曲ではユーロビート〜ジュリアナテクノを彷彿とさせるアッパーでコミカルな曲調。足をパカパカさせる振り付けも含め、その振り切り具合が楽しかった。

■028 シャボン玉/モーニング娘。
作詞・作曲:つんく 編曲:高橋諭一 ブラス & ストリングスアレンジ:河野伸
収録盤:モーニング娘。『シャボン玉』(2003年7月30日リリース)

モーニング娘。 『シャボン玉』 (MV)

 田中れいな等の6期メンバーが加入してから初のシングル。その田中が歌い出しの<愛する人はあなただけ〜>という歌詞パートに抜擢され、ファンも一緒に<れいなだけ〜>とコールするのが定番となっていた。演歌を現代風にアップデートしたかのような奇抜なサウンドはインパクト大。演歌や歌謡曲的なるものを現代J-POPにどう昇華させるか、というのがつんく♂ワークスのひとつのテーマと思われるが、その走りのような一曲。

■029 行くZYX! FLY HIGH/ZYX
作詞・作曲:つんく 編曲:河野伸
収録盤:ZYX『行くZYX! FLY HIGH』(2003年8月6日リリース)

 ハロプロ次世代を担う「ハロー!プロジェクト・キッズ」オーディションの合格メンバーは、この頃から新ユニットでレコーディング参加するようになっていた。補佐役の矢口真里、そしてのちにBerryz工房および℃-uteとしてデビューすることになるメンバー含む6人組がZYXで、この1stシングルはメンバーの新鮮さと勢いのある楽曲テイストが上手く噛み合った良曲。ウィンター・シンセポップな2ndシングル曲「白いTOKYO」も素晴らしい。

■030 抱いてよ! PLEASE GO ON/後藤真希
作詞・作曲:つんく 編曲:鈴木Daichi秀行
収録盤:後藤真希『抱いてよ! PLEASE GO ON』(2003年8月27日リリース)

 後藤真希のポップサイドを象徴する楽曲が「スクランブル」なら、アッパーでハードな一面がよく出たのがこの8thシングル曲。四つ打ちのアップテンポなビート、間奏ではアグレッシブなラップパートまで飛び出し、コンサートでも一際大きく盛り上がる一曲だ。「DPGO」という略称すら勇ましい。2ndシングルのカップリング曲「LIKE A GAME」等とともに、江戸川区出身のヤンキー気質な面が反映されたところもあるだろう。

■031 FIRST KISS/あぁ!
作詞・作曲:つんく 編曲:湯浅公一 ストリングスアレンジ:CHIKA
収録盤:あぁ!『FIRST KISS』(2003年10月29日リリース)

 前述のZYXと同じく、ハロー!プロジェクト・キッズからの選抜ユニット。のちにBerryz工房でデビューする夏焼雅、℃-uteの鈴木愛理、そしてモーニング娘。田中れいなのトリオ。3人の平均年齢が11歳、特に鈴木愛理は9歳でのCDデビューであり、そんな年端の行かぬ子供たちに本格R&Bサウンドのラブソングをしっとり歌わせるという、ギャップを強調するアイドルフォーマットの極みのような一曲。歌姫愛理の原点ともいえる。

■032 恋してごめんね/松浦亜弥
作詞・作曲:つんく 編曲:河野伸
収録盤:松浦亜弥『×3』(2004年1月1日リリース)

 3rdアルバム『×3』(トリプルと読む)収録の一曲。ソウル/ディスコ調の楽曲はハロプロに数多いが、この曲もまたかなりの完成度を見せている。ソウルミュージックは歌が上手くなければ様にならないが、その点でも見事だ。デビューから一貫してつんく♂プロデュースだった松浦亜弥だが、シングルでは2006年、オリジナルアルバムとしてはこの盤を最後につんく♂から離れ、また新たな展開を見せていく。そんな時期に発表された楽曲。

■033 あなたなしでは生きてゆけない/Berryz工房
作詞・作曲:つんく 編曲:AKIRA
収録盤:Berryz工房『あなたなしでは生きてゆけない』(2004年3月3日リリース)

Berryz工房「あなたなしでは生きてゆけない」 (MV)

 ZYXやあぁ!の活動を経て、ついにハロプロキッズからの正式グループとしてデビューしたのがBerryz工房。その記念すべき1stシングルは、現代R&Bサウンドを低年齢女児が歌うという、いってみれば前述のあぁ!「FIRST KISS」と同じ方法論。リリース当時はそのギャップが表現の核となっていたが、それからBerryz工房は11年間の活動を全うし、女子から女性への成長とともにこの曲も節々で歌われ、そのたびごとの表現で聴かせてくれた。そのことが何より感動的。

■034 ピリリと行こう!/Berryz工房
作詞・作曲:つんく 編曲:平田祥一郎
収録盤:Berryz工房『ピリリと行こう!』(2004年5月26日リリース)

Berryz工房「ピリリと行こう!」 (MV)

 Berryz工房の初期はシングルを3カ月連続で発表、そして間髪入れず1stアルバムを投入と、計算されたリリーススケジュールだった。その3rdシングルが本曲で、沖縄テイストを取り入れた一風変わったサウンドだったが、着地点はたまらなくポップで元気。同シングルのカップリング曲「かっちょええ!」、同年12月発売のモーニング娘。のアルバム曲「すき焼き」でも沖縄テイストは継承されたが、最近はご無沙汰なのでまた試みてほしいところ。

■035 女子かしまし物語/モーニング娘。
作詞・作曲:つんく 編曲:鈴木Daichi秀行 ブラスアレンジ:竹上良成
収録盤:モーニング娘。『女子かしまし物語』(2004年7月22日リリース)

モーニング娘。 『女子かしまし物語』 (MV)

 いわゆるアイドルグループの「自己紹介ソング」のハロプロ版といった趣き。この曲では単純にメンバーの自己紹介ではなく「女の子のあるあるネタ」を歌詞に取り上げ、そこからメンバーのパーソナリティーを想起させるというひねった構成を取っていたが、ライブでは歌詞が変更され、現在では普通にメンバーの特徴をそのまま歌う自己紹介ソングに変化した。とはいえ、やはり他の曲では味わえない楽しさがある。

■036 ロボキッス/W
作詞・作曲:つんく 編曲:高橋諭一、田中直
収録盤:W『ロボキッス』(2004年10月14日リリース)

 モーニング娘。黄金期の最年少コンビとして存在感を放っていた辻希美と加護亜依。同籍していたミニモニ。の解散後、新たに組まれたのがこのユニットだ。1stシングル&アルバムは昭和歌謡カバーだったが次作からオリジナル曲路線に移行。やはりこの3rdシングルが一番の傑作だろう。ロボといってもサイバーな感じではなくどこかアナログチックな雰囲気のサウンド、そして2人組ならではのコミカルかつ可愛らしい振り付けが絶妙。

■037 ALL FOR ONE & ONE FOR ALL!/H.P. オールスターズ
作詞・作曲:つんく 編曲:鈴木Daichi秀行
収録盤:H.P. オールスターズ『ALL FOR ONE & ONE FOR ALL!』(2004年12月1日リリース)

 前述のシャッフルユニット企画の2004年版は、それまでのように3組のユニットを作らず、当時のハロプロメンバー46名全員集合によるスペシャルなシングルをリリース。ハロプロの本質のひとつとして、メンバー同士の関係性が織りなすドラマ、といったことが挙げられるが、それらを一つの楽曲として提示してみせたのが本曲だろう。加入順に歌われるパート割などがいちいち泣ける、一大アンセムである。

■038 スッペシャル ジェネレ〜ション/Berryz工房
作詞・作曲:つんく 編曲:馬飼野康二
収録盤:Berryz工房『スッペシャル ジェネレ〜ション』(2005年3月30日リリース)

Berryz工房「スッペシャル ジェネレ~ション」 (MV)

 デビュー2年目、6枚目のシングルとして飛び出したBerryz工房前期の代表曲。編曲にベテラン作曲家/アレンジャーの馬飼野康二を迎えての、少々いなたいファンキーなバンドサウンド。イントロの<スッ、ペッ スッ、ペッ、シャ、ル、ジェネレ〜ション!>というかけ声をファンも一緒に叫ぶのがお約束。<池袋過ぎたって この愛はえ・い・え・ん>というフレーズも意味深げで話題となった。

■039 好きすぎて バカみたい/DEF.DIVA
作詞・作曲:つんく 編曲:平田祥一郎
収録盤:DEF.DIVA『好きすぎて バカみたい』(2005年10月19日リリース)

 シャッフルユニットとは別に、ハロプロメンバーからエース級の人材を集めての臨時ユニットがシングルを出すという流れがある。2002年のごまっとう、2004年の後浦なつみを経て、2005年には安倍なつみ・後藤真希・松浦亜弥・石川梨華の4人によるDEF.DIVAが結成。洗練されたユーロビートに、ハロプロ歌姫4人の歌声が代わる代わる出てくるというゴージャスな仕上がりだった。

■040 砂を噛むように…NAMIDA /松浦亜弥
作詞:森村メラ 作曲:Joey Carbone、Kyoko Nitta 編曲:たいせー、小西貴雄
収録盤:松浦亜弥『砂を噛むように…NAMIDA』(2006年2月1日リリース)

 前述したように、2006年リリースの18thシングルであるこの曲からつんく♂プロデュースを離れ、別作家の楽曲を歌うようになった松浦亜弥。編曲およびプロデュースはシャ乱Qたいせーが担当。それまでにも「THE LAST NIGHT」「ずっと 好きでいいですか」といったつんく♂作詞作曲によるバラード表題曲はあったものの、それらとはまた違う良さのあるバラードが本曲だ。アルバム曲「dearest.」も名バラード。

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