『Sorry...come back later』インタビュー
AKLO×JAY’EDが語る、“運命的”なプロジェクトでの発見 「深いところで繋がれて曲を作れた」
こういうプロジェクトだからこそ提案してもらえた曲も(JAY’ED)
ーーもうひとつの先行シングル「Ballin’ Out」は、主にAKLOくんが世界観を主導して作ったんじゃないかと思ったんですが。
AKLO:そうですね。俺は “景気良いぜ”ヒップホップソングが好きだから、「これを出して超儲けようぜ」っていう気持ちを込めて、本当にBallin’ Outな打ち上げができるように書くわ、つって書いたんです。だからこれは未来予想図です(笑)。
ーーBallin’ Out というのは、派手にお金を使うことを指すスラングだそうですね。歌詞では「明日なんかいらない」と歌ってますけど、日本的にいえば、宵越しの金は持たない、みたいな。
JAY’ED:そう。明日のことなんか考えずに使いまくるっていう。ただ、今日は衣装なのでチェーンとか付けてますけど、僕は普段まったく付けないし。AKLOもつけないよね?
AKLO:俺もつけない。そもそも金属アレルギーだし(笑)。
JAY’ED:だから、「全然Ballin’してないやん!」っていう(笑)。そういうタイプじゃない2人で、モロにそういう世界観の曲を作りたいなっていうのもあったんです(笑)。
AKLO:そういう派手な世界観は嫌いじゃないからね。
JAY’ED:そう、嫌いじゃないから。
AKLO:あと、この曲でポイントにしたのは、最近Netflixとか見てると悪い奴を主人公にしたものが多いし、実際そういう方が面白いなと思って。だから、この曲でも悪い奴を主人公にしようと思ったんです。JAY’EDは山場を越えた悪い奴、だから金持ってるみたいな。そういうイメージで書いてみたんです。
ーー今回のアルバムで、あっという間にできた曲はありますか?
AKLO:「Pick Up The Phone」ですね。これは今回のファクトリー的な作業の中で、BLくんとJAY’EDから次のメロディができあがってくるのを待たないといけなくなったくらい、俺が一気に詰めて本当に即行でできた曲。この曲はストーリーものでゴールが見えてるということもあって早かった。
ーーこの曲で描いているのはどんな女の子なの?
AKLO:この女性にJAY’EDくんは恋してるんです。だけど、JAY’EDくんに内緒で、違う男とも会ってて、JAY’EDくんは騙されてるんです、完全に(笑)。で、その女の正体を知りたくないけど、俺の電話に出ないってことはもうそういうことだろ? って気づき始めてる。だけど、出てくれって期待して電話を掛け続けてる。JAY’EDはこの曲ではホントにピュアなんですよ。だけど、その女は本当にビッチっていう(笑)。
JAY’ED:あはは。そんな経験もあったよなぁ、と思いながら歌ってました。僕は完全に被害者(笑)。
AKLO:これも普通のフィーチャリングだったらできないというか。「JAY’EDが恋してる女が実はビッチで、その女は実は俺と一緒にホテルにいるっていうのはどう?」っていうのは、かなり友達じゃないと提案できないテーマだと思う(笑)。
JAY’ED:でも、だからこそ、この歌をすげえやりたいと思ったんです。こういうプロジェクトだからこそ提案してもらえたと思うし、これまでのお互いのフィーチャリングとはまた違った視点でより深い曲が作れるなと思ってました。
ーーでは、反対に今回もっとも苦戦した曲は?
AKLO:苦戦したのは「Break It」ですね。
JAY’ED:メロディはそうでもないんです。結構早くできた。
AKLO:トラックが上がった時点では、BLくんはこれをいちばん推したいっていうテンションで来てて、JAY’EDも即行でイイカンジのメロディを思いついてて、あとはリリックをどうしようか? っていうことになったんです。で、俺、合宿の途中で1回メキシコの実家に帰ったんですね。それがトランプ政権が誕生した時期で、メキシコのあちこちで暴動が起きてて。
ーートランプの「build the wall」に対して。
AKLO:そう。ただ、俺は政治的なことをメッセージするのはあまり好きじゃないから、そのことを上手いこと表現できないかなと思って何度も何度も書き直した曲なんです。そのとき、世の中には理不尽な状況ってあるよな、でも我慢することないよなって思ったんですよね。その壁のこともそうですけど、従うだけが正しいことじゃないぞと。たまにはルールを破って、ブチ切れて、自分の存在を世界に知らしめなければいけないときがあるってことをそのとき強く思ったんです。だから、「Break It」っていうのは、壁が出来たらぶっ壊せっていうメッセージでもあるし、たまには自分のリミッターを外してもいいんじゃないですか? っていうメッセージでもあるんです。
ーー収録曲の中でもっとも異彩を放っているのが「Break It」ですよね。ラップはイマドキのトラップだし、トラックは荒々しいロック調だし。
JAY’ED:僕は今回、これがいちばんドキドキしてた曲なんですよ。
AKLO:怪しいから?
JAY’ED:というか、今までの自分のイメージにはまったくないものだなって。
AKLO:そうだよね。そこに関しては、俺が突っ走った部分があったかも。
JAY’ED:うん。でも、僕はロックも全然好きだし、こういう機会じゃなければできないかもしれないと思って、チャレンジ精神でやってみようと。結果、初挑戦だからこそメロディ作りは楽しかったし、気持ちよくできましたね。
ーーってことは、JAY’EDくんが殻を破るっていう意味でも“Break It”な曲になったと。
JAY’ED:うん、そうですね(笑)。