Dorothy Little Happy“5人再集結”に見た、圧倒的なエンタメ性とショービズの怖ろしさ

 そんな時期を踏まえ、改めてこの日5人の再集結を見た宗像氏は、その感想を以下のように述べる。

「約2年の歳月を経てもなお、5人が揃ったときの洗練度は変わっていないなという印象でした。関係者エリアはビッシリと埋まり、現役アイドルの姿も多く見られました。出番前にはそれまでに登場したどのアーティストよりも多くの人がアリーナを埋め尽くしていました。ステージの片方からcallmeの3人が現れて、もう一方から高橋さん、白戸さんの2人が登場し、ステージの上で円陣を組む瞬間は鳥肌ものでしたね」

 また、パフォーマンス中に以前のトラブルをネタにしたことで、5人の中で止まっていた時計が再び動き出したのではないかと指摘する。

「ライブ中盤、秋元さんが中野サンプラザでの出来事をネタにし『あのときは私たちも子供だったんで』と発言して、それに対して白戸さんが『あのときの伝説になったあの曲を』と笑いながら前置きして『未来へ』が始まった瞬間のアリーナの湧きっぷりはすごいものでした。また、『恋は走りだした』のイントロが流れたとき、横浜アリーナはここまで物理的に揺れるのかと驚くくらいの歓声が上がりました。あの時ステージにいたのは、間違いなく私がブルーレイで何度も見返した、当時のDorothy Little Happyでしたね」

 最後に、5人のなかで唯一引退を選択し、7月に「人生最後のライブ」を終えたばかりの白戸についても言及しながら、このステージの素晴らしさについてコメントしてくれた。

「白戸さんに関しては、もちろん色んな感情があると思います。でも、歌もダンスも表情も、5人のDorothy Little Happyにおけるリーダーとして素晴らしいステージングをしていました。私にはそれで充分でした。もちろん、『なんでまだ白戸さんが出てくるの?』『なんで5人でまた出るの?』という疑問もあったと思います。でも、Dorothy Little Happyはそれらをエンターテインメントの力で説き伏せる、感嘆させるくらいの圧倒的なものであったことは間違いありません。それと同時に、アイドルというショービズの恐ろしさも感じたステージでした。エンターテインメントというものの根源を問われたような感覚にも陥りましたね……」

 もう見られないと思っていたものが、目の前で繰り広げられる光景は、バンドやユニットの再結成しかり、普段のライブでは味わえないほど胸を打つものがある。やはりその特別さは、どのジャンルにおいても同じことであり、ある意味恐ろしいものでもあるのだと思わせてくれる出来事だった。

(文=中村拓海)

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