ジャスティン・ビーバーの傑作『パーパス』が、海外&日本の音楽シーンに与えた影響は? 

J・ビーバーを今こそ再考する

『パーパス』が以降のポップ・シーンに与えた影響

 『パーパス』のヒット以降、ポップ・シーンでは多くのアーティストがジャスティン・ビーバーに続くことになった。たとえばスネイクヒップスらとも交流しながらスムースな前衛R&Bを追究している元ワン・ダイレクションのゼインのソロ活動は、明らかにジャスティン・ビーバーが辿った変化の直接的な影響下にあるように思える。また、ロードやデュア・リパのような女性シンガーたちの楽曲も、ジャスティンが『パーパス』で披露したエレクトロ・ビートとポップなメロディの融合を、彼女たち流に推し進めたと言えるものが多くある。

ZAYN - PILLOWTALK
Lorde - Green Light

 もちろん、その影響は英語圏だけでなくアジアにも波及。中でもアジアでいち早く『パーパス』以降のサウンドを取り入れたのは、SMエンターテインメントを筆頭にしたK-POPグループだった。BoAとBeenzinoがタッグを組んだ「No Matter What」やSHINeeの「View」はトロピカル・ハウス風のポップ・チューン。日本でも三浦大知の「Look what you did」はトロピカル・ハウスとアンビエントなR&Bとが絶妙に混ざり合った楽曲で、橘慶太がセルフプロデュースを担当したw-inds. の「We Don't Need To Talk Anymore」も、その雰囲気に連なる楽曲になっている。他には2016年以降、日本では多くのアイドル/ボーイズグループの楽曲にもトロピカル・ハウスが導入されているが、その多くが「ホワット・ドゥ・ユー・ミーン?」や「ソーリー」のスタイルに連なっていることも象徴的な出来事だ。

SHINee 샤이니_View_Music Video
三浦大知 (Daichi Miura) / Look what you did -Choreo Video-

 そうして世界中に広がった現在のポップ・ミュージックのトレンドを、豪華ゲストとともにまとめたのがカルヴィン・ハリスやDJキャレドの新作であり、そこには『パーパス』によって世に広まった要素を見つけることができる。DJキャレドの「I’m the One ft. Justin Bieber, Quavo, Chance the Rapper, Lil Wayne」にジャスティンが参加し、「俺は運命の人」と歌う姿には、今のポップ・シーンにとっての彼の存在感が投影されているようで感慨深い。

 この『パーパス』は、たとえばマイケル・ジャクソンにとっての『Off The Wall』や、ジャスティン・ティンバーレイクにとっての『Justified』『FutureSex/LoveSounds』のように、ジャスティン・ビーバーが自身のクリエイティブな才能を大きく開花させた、キャリアのターニング・ポイントになる作品だ。現在の彼は、ポップ・スターとしての大衆性とアーティストとしてのクリエイティビティを、今最も大規模な形で両立しているひとりと言って間違いない。つまり、現在のジャスティン・ビーバーを体験することは、「世界のポップ・シーンの今」を体験するということなのかもしれない。

■杉山 仁
乙女座B型。07年より音楽ライターとして活動を始め、『Hard To Explain』~『CROSSBEAT』編集部を経て、現在はフリーランスのライター/編集者として活動中。2015年より、音楽サイト『CARELESS CRITIC』もはじめました。こちらもチェックしてもらえると嬉しいです。

『パーパス+スーパー・ヒッツ』

■商品情報
『パーパス+スーパー・ヒッツ』
発売中
価格 : ¥3,240(税込)
国内盤 : 対訳、ライナー付、ボーナス・トラック収録
アーティストHP

<収録内容>
・CD1
01 マーク・マイ・ワーズ/Mark My Words
02 アイル・ショウ・ユー/I'll Show You
03 ホワット・ドゥ・ユー・ミーン?/What Do You Mean?
04 ソーリー/Sorry
05 ラヴ・ユアセルフ/Love Yourself
06 カンパニー/Company
07 ノー・プレッシャー feat. ビッグ・ショーン/No Pressure feat. Big Sean
08 ノー・センス feat. トラヴィス・スコット/No Sense feat. Travis Scott
09 ザ・フィーリング feat. ホールジー/The Feeling feat. Halsey
10 ライフ・イズ・ワース・リヴィング/Life Is Worth Living
11 ホウェア・アー・ユー・ナウ feat. ディプロ&スクリレックス/Where Are U Now feat. Diplo & Skrillex
12 チルドレン/Children
13 パーパス/Purpose
14 ビーン・ユー/Been You
15 ゲット・ユースト・トゥ・イット/Get Used To It
16 ウィー・アー feat. NAS/We Are feat. NAS
17 トラスト/Trust
18 オール・イン・イット/All In It
19 ヒット・ザ・グラウンド/Hit The Ground ★
20 ザ・モースト/The Most ★
21 ホーム・トゥ・ママ/Home To Mama ◆

・CD2
1.レット・ミー・ラヴ・ユー/LET ME LOVE YOU / DJ SNAKE feat. Justin Bieber ◆
2.コールド・ウォーター/COLD WATER / MAJOR LAZER feat. Justin Bieber & MØ ◆
3.デジャ・ヴ/DEJA VU / POST MALONE feat. Justin Bieber ◆
4.ホワット・ドゥ・ユー・ミーン?(アコースティック・ヴァージョン)/What Do You Mean? (Acoustic Version) ◆

★ 海外デラックス・エディション&日本盤ボーナス・トラック
◆ 日本盤ボーナス・トラック

 

■公演情報
『JUSTIN BIEBER PurposeTour2017』
日時:9月23日(土・祝)、24日(日) 16:00開場/18:00開演
場所:味の素スタジアム
※雨天決行、荒天中止

<チケット(座席指定/税込)>
S:¥15,000  
A:¥13,000
VIP(グッズ付):¥30,000

お問い合わせ:ウドー音楽事務所 03-3402-5999

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