Brian the Sunが困難を越えて突き破った壁 『パトスとエートス』ツアー最終公演に見た変化

Brian the Sun、困難を越えて突き破った壁

森良太(Vo./Gt.)

「普段あんまり言わないんですけど、見てもらった感じ調子悪そうでしょ? 大丈夫なんですけどね、元気なんですけどね。どこまであいつは喉をヤるんか楽しみにしててください」(森)

 実はこの日、森の喉は万全の状態ではなかった。Brian the Sunのライブは6年ほど前から見ているが、ユルいメンバーとの絡みと強気で真面目な二面性のMCを見せる森がこんな風にこぼしたのを見たのは初めてだ。序盤はそれが観客に少しの違和感を与えるくらいのものだったし、「Cloudy #2」や弾き語りの「月の子供」は、こちらも悔しさを感じるパフォーマンスだった。しかし、アンコールでその光景は一変する。

 森が「壊れてもいいから歌います」と叫び、歌い上げたのは彼らのアンコール定番曲「ロックンロールポップギャング」。これまでにないくらい魂の乗った歌声と演奏を聴いて、Brian the Sunの中での何かが変わった気がした。観客もそれを感じとったのか、ダブルアンコールを要求する。森はギリギリの状態で、鬼気迫るオーラを出しながらどこか楽しそうに「もう何曲でもやったるわ!」と言い放つ。

 森は「何やって欲しい?」と客席に問いかけ「Naked Blue」がリクエストされると、それに応えるように準備を始める。だが、演奏されたのは「君の声」。「俺が素直に従うわけないやろ!」と森が悪戯に笑い、4人が楽しそうにパフォーマンスするその姿からは、数十分前まで同じステージに立っていたバンドとは思えない溌剌とした熱量が伝わってきた。

 今年はバンドが結成してから10年を迎えるタイミングであることを踏まえ、10月にはなんばHatchと赤坂BLITZで主催イベントを開催すること、7月5日にはミニアルバムをリリースすることも決定した。長くバンドを見ているからこそ無責任なことを言うが、Brian the Sunはこれまでのキャリア自体、順調に積み上げてきたバンドではない。様々な壁にぶち当たり、そのたびに強くなってこちらの想像を凌駕してきた4人が、この日感じた変化の正体を見せてくれる近い未来を楽しみにしたい。

(取材・文=中村拓海/撮影=ヤマダマサヒロ)

■セットリスト
1.Impromptu
2.Physalia
3.Noro
4.Mitsuhide
5.Hi-Lite
6.神曲
7.Maybe
8.アイロニックスター
9.Sunny side up
10.ねこの居る風景
11.隼
12.パトスとエートス
13.HEROES
14.Cloudy#2
15.月の子供
En1.アレカラ
En2.13月の夜明け
En3.ロックンロールポップギャング
WEn.君の声

■リリース情報
5曲入りミニアルバム『SUNNY SIDE UP』
発売:7月5日(水)
価格:初回生産限定盤(DVD付)2,315円(税抜)
通常盤(CDのみ)1,800円(税抜)

<配信情報>
「Sunny side up」(TVアニメ『兄に付ける薬はない!』主題歌)
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mora

■放送情報
AbemaTV『メトロック出演!Brian the Sun 2017ツアーファイナルLIVE』
放送日時:6月9日(金)夜9時~
放送チャンネル:AbemaSPECIAL 2
番組視聴はこちら

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