Wild Honey、Manceau、BMX Bandits……ソフト・ロックのテイスト感じる世界各地の新作5選

beach fossils『Somersault』

 今度は大西洋を渡ってアメリカへ。USローファイ・シーンを代表するNYのインディーレーベル、<キャプチャード・トラックス>の人気バンドだったbeach fossils。新作『Somersault』は、バンドのフロントマン、ダスティン・ペイサーが運営するレーベル、<ベイオネット>に移籍しての第一弾だ。今回は、サックスやフルート、ストリングスなど生楽器の温かな音色がアクセントになっていて、初期のUKネオアコを思わせる翳りを帯びたギターサウンドに、うっすらと陽が射してきたような雰囲気。繊細なメロディはいつもながらだが、まどろむような心地良さはサイケデリックな浮遊感があって、彼らの新たな魅力を垣間見せてくれる。

Beach Fossils - Down the Line(Official Video)

BMX Bandits『BMX Bandits Forever』

 そして、最後はスコットランドのグラスゴーから、ベテランのBMX Banditsによる『BMX Bandits Forever』。ダグラス・T・スチュワートを中心に、作品ごとに参加メンバーが変わるBMX Bandits。今回は以前メンバーだったスチュアート・キッドが、一緒にDr Cosmo's Tape Labというユニットを組んでいるジョー・ケインを伴って参加。ダグラスの右腕となって曲作りに大きく関わっている。その結果、Dr Cosmo's Tape Labとダグラスの共通の嗜好、60年代ポップスへの愛情たっぷりなサウンドに仕上がっていて、The Beach Boys「Forever」、マルコス・ヴァーリ「Mais Do Que Valsta」など、カバーの選曲もナイス。アルバム全体を通じて、ダグラスがリスペクトするThe Beach Boysへのオマージュを感じさせる愛すべきアルバムだ。

BMX BANDITS - It's In Her EyesWith DrCosmo's Tape Lab) [Audio]

 さて、次はどこの国へ?

 
 

■村尾泰郎
 ロック/映画ライター。『ミュージック・マガジン』『CDジャーナル』『CULÉL』『OCEANS』などで音楽や映画について執筆中。『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』『はじまりのうた』『アメリカン・ハッスル』など映画パンフレットにも寄稿。監修を手掛けた書籍に『USオルタナティヴ・ロック 1978-1999』(シンコーミュージック)などがある。

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