PrizmaXがデビュー4周年記念ライブで示した音楽的ルーツとこれから

PrizmaXが示したこれからのストーリー

 サイパン、ミャンマー、フランス、日本とさまざまな文化的ルーツを持った5人が肩を並べるPrizmaXは、サウンドやダンススタイルの面でも特に日本では稀有なグループだ。そんな彼らがCDデビューから4年の月日を経てまさに待望の1stアルバム『Gradually』を完成させた。

 新曲はもちろん、過去7枚リリースされたシングルからの印象的な楽曲が集められ、ベストアルバムさながらの完成度を誇るこのアルバムだが、その曲順はPrizmaXのこれまでとこれからをストーリー仕立てで表現したものになっている。彼らのCDデビュー日である3月27日に行われたライブ『PrizmaX 4th Anniversary Live「Gradually」-1st ALBUM全曲通します-』は、その内容を曲順どおりに生で体験できるというプレミアムな一夜となった。

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森崎ウィン
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黒川ティム

 インスト曲「Gradually」に続けていきなり放たれたのは、ファンの間でも非常に人気の高い80年代POP風味の「Pleasure」。昨年11月の新木場STUDIO COAST以来の久々のワンマンだからなのか、ボーカルの森崎ウィンは喜びを爆発させたような笑顔で投げキッスをホリック(=PrizmaXファン)たちにお見舞い。同じくボーカルの黒川ティムは、そのウィンと張り合うようにパワフルで伸びやかな歌声を響かせる。しょっぱなからの盛り上がりに「さすがホリック! ステキやん!?」と、クールな清水大樹も笑顔を浮かべている。

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 サビでタオルを回し盛り上げた「Sing it!」に続けて披露されたのは、ウィン作曲、ティムと大樹が作詞した新曲「Angel」。ジャズのエッセンスを含んだピアノサウンドが映えるこの曲には、古きよきミュージカルソングのようなスタンダード感が漂う。PrizmaXのここ最近のシングル曲は外部楽曲が続いたが、CDデビュー初期と同じくメンバーが手がけたこの曲にも顕著なのは、レトロモダン志向だ。ウィンがナビゲーターを務めるラジオ『E★K radio』(FMヨコハマ)でもファンクやソウル、はたまたビートルズなど音楽シーンのマスターピース的楽曲を掘り下げて紹介するコーナーがあるが、そういった観点からもこの1stアルバムの構想が丁寧に編まれたものであることが見てとれる。

 ロックテイストの「REBORN」では運動量の多い振りはもちろん、不適な笑みを浮かべてファンを魅了する島田翼、端正な顔立ちに表情の豊かさをたたえた福本有希両名の表現力が光った。昨年ウィンがスティーブン・スピルバーグ監督の映画『レディ・プレイヤー・ワン』(2018年3月全世界同時公開予定)の撮影で海外にいる間はソロボーカルとして活躍したティムは、以前よりもぐっと歌唱力をレベルアップ。音楽的ルーツの一つとしてロックサウンドを挙げているだけあり、特にこういった楽曲でのアゲっぷりは見事だ。

 軽快なロックンロールサウンドにのせ、ツイストなどレトロ風味の振りを散りばめた新曲「my girl」に続いて披露されたのは、プリズ流ファンクサウンドが炸裂する7thシングル曲「UP<UPBEAT」。ここでは<Hi tension!>コールや歌詞中の<服のまま噴水へDiving>の水に潜るような振りなどで、ホリックたちが大活躍。ヒートアップしていくフロアの勢いに煽られるかのように、ボーカル2人もフェイクを入れまくり応戦(?)していく。

 MCではコント風のやり取りで笑わせた彼らだが、気を取り直してウィンが「PrizmaXは誰一人、ホリックを離さないと約束します」と語り、ささやくようなボーカルからスタートする「Never」へ。先述のティムとは対照的に、熱唱するときもやわらかさを失わない歌い方やビブラートのかけ方に独特の味わいがあるウィンのボーカルの魅力が堪能できるナンバーだ。

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 そしてスクリーンには昨年11月の『PrizmaX Live Level4 いつかこの夜を思い出すだろう ~Someday~』で上映されたショートフィルムをコラージュしたMVが映し出され、センチメンタルなミディアムナンバー「Someday」がスタート。このグループのダンスはフォーメーションチェンジが複雑だが、この曲のサビ部分などでは特に、これまでグループが経験してきたさまざまなできごとに想いをめぐらせるかのように、ほぼ立ち止まることなくフォーメーションの形を変えていく。個々には動きの派手なストリート系のダンスも習得しているであろう5人だが、グループとしてはジャズ風などしっとりとした動きで魅せる曲が多く、その自然に滲み出すようなダンディさも、他の国内のダンスボーカルグループたちとはひと味違う個性といえる。

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