『10th Anniversary Live History -BEST-』連載企画
Acid Black Cherryの10年はライブから始まったーー2007〜2009年公演を振り返る
【2008年】Acid Black Cherry 2008 tour “ BLACK LIST ”
2008年2月20日。Acid Black Cherryは初めてのオリジナルアルバム『BLACK LIST』をリリースした。
『BLACK LIST』は、主にカトリック教会において《傲慢》《物欲》《嫉妬》《肉欲》《憤怒》《貪食》《怠惰》という感情が人間を罪に導く可能性があるとする、いわゆる【七つの大罪】をモチーフとし、「人は生まれながらにして罪人なのか」というテーマを掘り下げた作品である。
ソロとして、初めてのオリジナルアルバムを作り上げる過程でのyasuは、一切の妥協も許さなかったという。
「『BLACK LIST』のコンセプトは、ソロを始めた直後くらいからなんとなくあった。シークレットライヴツアーをするために、ある程度曲を作り溜めていたから、それもあって、なんとなく絵が見えていたというか。ボヤッとなんとなく頭にはあったかな。曲を作り溜めていく流れの中で、なんとなく自分の中でもストーリーが見えてきた感じやったというか。だから、結構早い段階から構想はあったね」
アルバム『BLACK LIST』で、yasuは自分自身を再発見したこともあったという。
「自分がこんなにこだわりがあるとはね。俺って、結構めんどくさいヤツなのかもしれないね(笑)」
そして、このアルバムを引っさげ、全国26ヶ所27公演の『Acid Black Cherry 2008 tour “ BLACK LIST ” 』がスタートする。
このツアーは、3月6日の京都MUSEを皮切りに全国20都市20公演のライヴハウスツアーと、5月2日の福岡市民会館を皮切りに全国6都市7公演(※4月30日に三郷市文化会館で行った公開ゲネプロも含む)のホールツアーという、Acid Black Cherry初の単独ツアーとなった。
やるからには、その物事に一生懸命立ち向かうyasuだからこそ、『BLACK LIST』を届けるツアーにも人一倍のこだわりと熱意があったに違いない。
だからこそ、そこにはそれなりの不安もあったという。
しかし、ファイナルの日本武道館で、13,000人を目の前にするyasuのパフォーマンスは、そんな不安など微塵も感じさせないほど圧倒的なものであった。
ツアー中、Acid Black Cherryの音を再現してくれるサポートメンバーたちとも、積極的に向き合って、その人間性や音楽性も深く知ったyasuは、ツアーを回る中で“曲が育っていく”という感覚も実感したと言う。
そしてこのツアーでは、シークレットライヴツアーの時から披露し、『BLACK LIST』に収録されていない「20+∞Century Boys」も演奏している。
今ではAcid Black Cherryに欠かせない代表曲の一つであるこの曲もまた、このツアーで大きく育った楽曲となった。
今作の映像でもそうなのだが、アンコールで届けられることが多いこの曲の中で、“分かるか?”と叫び、ライヴの最後には必ず会場内を隅々まで見渡すyasu。
この曲に込められた想いを、ダイレクトに感じるような、そんな瞬間である。
こうして『BLACK LIST』ツアーは、大盛況のうちに終了した。
この当時のyasuは、“動き出した今”をしっかりと見つめて向き合い、ただただ真摯に唄っていた様に思う。