“卒業ソングの定番”に新たな動き? 井上苑子、SHISHAMOによる等身大の楽曲に注目

等身大の“卒業ソング”に注目

 このように、数々の定番曲が存在する卒業ソング。近年では、10~20代が歌う等身大の楽曲が次々と発表されている。シンガーソングライターの井上苑子が歌う「君に出会えてよかった」(2016年)は、リリースタイミングで高校を卒業した井上のリアルな思いが込められた卒業ソング。背中を押してくれるようなポジティブな歌詞と明るいメロディからは旅立ちへの希望がうかがえ、誰もが抱く“変化することへの不安”を吹き飛ばしてくれる。

井上苑子 - 「君に出会えてよかった」(short ver.)

 井上のように卒業生の目線から学校生活を振り返るものもあれば、SHISHAMOの「さよならの季節」(2015年)は、「卒業生を見送る生徒」の視点から物語が広げられている。「自分を忘れて欲しくない、ずっと繋がっていたいのに」そんなもどかしさは、誰にでも経験し得ること。好きな人に訴えかけるような歌詞に心が締め付けられ、共感するリスナーも多いことだろう。

SHISHAMO「さよならの季節」

 10~20代という“卒業”に身近な世代が歌う等身大の卒業ソングは、同世代の人々の心に一層響くのではないだろうか。これから卒業を迎える人たちにこそ、これらの楽曲を聴いてみてほしい。

(文=竹内夢乃)

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