AKB48 チーム8、初冠番組で見せる新しい顔 様々なフォーマット取り入れた面白さを分析

AKBチーム8、初冠で見せる新たな顔

 全国47都道府県から代表メンバーが集まって構成されたAKB48・チーム8。結成してまもなく4年目を迎えるチーム8は全国津々浦々、ライブや公演、地域のイベントなどで「会いに行けるアイドル」として活躍している。そのチーム8の地上波初の冠番組として2017年1月に日本テレビ系列で始まり注目を集めているのが『AKB チーム8のブンブン!エイト大放送』。この番組では、個性あふれるメンバー全員の新たなキャラを発見することができる。

新鮮だった、昭和のアイドル名曲カバー

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吉川七瀬演じる「なちょぱ」

 番組は、MCを務めるオードリーとともにチーム8のメンバーが観客前で公開収録を行ない、歌やダンスを披露したり、恥じらいを捨ててコントをするメンバーの新たな一面を見ることができる。例えば従来は純朴で真面目キャラの吉川七瀬が演じたギャルのファミレスのアゲアゲ店員・なちょぱは、ファンから見たら「まさか、吉川七瀬がここまでやるのか!」と思わせるようなシーンもある。吉川が演じたなちょぱの「ありえんてぃー」「やばたにえーん」は、ファンやメンバーの間でも名言として、各メンバーのSHOWROOMに登場することも多い。

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キャンディーズを歌った小栗有似、坂口渚沙、倉野尾成美

 歌のコーナーではキャンディーズ(小栗有似、坂口渚沙、倉野尾成美)、ピンクレディー(横山結衣、本田仁美)、おニャン子クラブ(中野郁海、下尾みう、人見古都音)、松田聖子(小田えりな)など、昭和時代のアイドルの名曲を披露。メンバーは当時まだ生まれてもいない時代のアイドルだ。昭和のアイドル特有のマイクパフォーマンスで歌やダンスを披露するチーム8のメンバーの姿は新鮮だし、チーム8一番の歌唱力を誇る小田えりなは当時の松田聖子風の髪型と衣装で「青い珊瑚礁」を熱唱、メンバーも期待を裏切らない彼女の歌声を絶賛していた。

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松田聖子「青い珊瑚礁」を歌唱する小田えりな

 しかし、メンバーにとっては昭和のダンスや歌は現在のものとフォーマットが違うし、歌詞の意味を理解できていないことも多く、普段から歌やダンスに慣れているメンバーであっても、習得に苦労しているようだ。キャンディーズを披露した放送の回では、TDCでソロコンサートも経験している倉野尾成美ですら、納得できずに泣き出してしまう場面もあった。

Hulu「未公開シーン」とSHOWROOM「裏実況」

 『AKB チーム8のブンブン!エイト大放送』は、『AKB チーム8のブンブン!エイト大放送』は、日本テレビのみで放送のため関東近郊の視聴者だけがリアルタイムで見ることができるが、番組はHuluでも配信を行なっており、こちらのバージョンでは「ウラチャンネル~尺が入らなくてすみません。」というメイキングや未公開シーンも収録されている。中には「どうしてこれがオンエアされない!」と思うようなシーン、メンバーがNGを出して泣いてしまう様子や、コント前の緊張した姿、厳しい歌のレッスンでの真剣な表情なども多くみられる。例えば、大西桃香の「ももちぇる」や、「笑わず姫」に扮した早坂つむぎを笑わせる人見古都音の一発ギャグ、スタンバイ中のメンバートークなど、未公開にしておくのは勿体ないというシーンもHuluでは楽しめる。多くのメンバーがSHOWROOMやプラメなどで、地上波が見れない人や裏シーンも見れるということでHuluでの視聴をファンに呼びかけている。ちなみに、「会いにいけるアイドル」チーム8が出演しているこの番組には、Huluに加入しているファンなら、公開収録へ参加し、メンバーに会いに行くことができる。スタジオではメンバーとの距離も近く、自らがメンバーと共演することもあり、普段見られない様子も観覧できる「神収録」だ。

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 また番組オンエア中には、小田えりな、岡部麟、高橋彩音など関東在住のメンバーや、仕事で東京にいる太田奈緒などがSHOWROOMでチーム8のメンバー3~4人が「裏実況」も行っている。裏実況をしているメンバーが地上波の番組中にコントを披露する時は、ファンも大忙しだ。地上波を見ながら、メンバーのSHOWROOMにすぐにコメントをし、メンバーの反応を楽しんでいる。メンバーも恥ずかしそうに地上波での自分のコントをSHOWROOM越しにファンと一緒に見ている。例えば番組で「八文字えり斎」のコントを演じた小田えりなは、SHOWROOMで裏実況をしながら「めっちゃ恥ずかしい。テンパりすぎて記憶にない」とスマホの前のファンに収録時の様子を伝えていた。さらにHuluで未公開シーンを見てから、メンバーが配信するSHOWROOMにコメントをしてメンバーと番組の話題で盛り上がることもできる。毎朝5時半からSHOWROOM配信をし、最近では選抜入りを果たした大西桃香はファンからの書き込みに「なんで『ももちぇる』知ってるの? カットされてたのに。現場に来てくれてたのかな」と語りかけ、ファンからHuluで見たことを伝えられると「Huluだと見れるの? 恥ずかしい!(コントは)勉強になりました。次出れる時はもっと頑張りたい」と気持ちを吐露しながら、ファンとのコミュニケーションを楽しんでいた。

 チーム8はAKB48ファンの間では既に有名な存在だが、地上波さらにはHulu視聴者の間でも認知度を上げており、47人の個性あふれるメンバーが伸び伸びと新たなキャラを開拓している。放送は全10回で、3月末に終了してしまう予定だが、視聴者の多くはパート2の登場をすでに期待している。

■佐藤 仁
シンクタンク研究員。ポップカルチャーやエンタメ・コンテンツが国際社会や日本経済に与える影響を研究。例えば日本とアジアのソフトパワーの源泉はどこにあり、これからどのように進化していくのかについてミクロ(個人単位)からマクロ(社会全体)まで幅広い視点から探求。

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