NEWSの新作はなぜ“西部劇”を連想させる? 矢野利裕による『EMMA』評

 ジャニーズの歴史において、西部劇の記憶は重要である。筆者は、ジャニーズの歴史はアメリカ文化が西へ西へと進む歴史だ、と考えている(『ジャニーズと日本』を参照していただければ幸い)。これを西部開拓の合言葉で「ゴー・ウエスト」という。アメリカのショービジネスは、太平洋を越えてさらに西へ行き、日本に到着した。これがジャニーズだ。じゃあ、日本のさらに西は? 日本からさらに西へ行くと、中国を経由してインドのほうへ行く(これについては、また別途議論が必要だ)。だとすれば「チュムチュム」は、そんな「ゴー・ウエスト」の次の局面だったのか!? 冒頭で、NEWSのことが把握できていないと述べたが、NEWSはむしろ、すごく未来を見ているのではないか、としばしば思う。NEWSは、EDM的なビートで同時代のマナーを踏まえつつ、その先になにを見ているのだろうか。正直、底知れないところがある。とりあえず、次のアルバムに期待が高まる。

■矢野利裕(やの・としひろ)
1983年、東京都生まれ。批評家、ライター、DJ、イラスト。東京学芸大学大学院修士課程修了。2014年「自分ならざる者を精一杯に生きる――町田康論」で第57回群像新人文学賞評論部門優秀作受賞。近著に『SMAPは終わらない 国民的グループが乗り越える「社会のしがらみ」 』(垣内出版)、『ジャニーズと日本』(講談社現代新書)、共著に、大谷能生・速水健朗・矢野利裕『ジャニ研!』(原書房)、宇佐美毅・千田洋幸編『村上春樹と一九九〇年代』(おうふう)など。

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