Flower、“映画のような”ライブで見せた充実の現在ーー『Flower Theater 2016』最終公演レポ

『Flower Theater』最終公演レポ

それぞれの成長が、Flowerらしさに磨きをかける

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 やはり特筆すべきは、1人で全曲を歌いきった鷲尾の安定感。1本の映画を見たような気持ちになるのは、鷲尾が各曲の登場人物を代弁するように歌い上げたからこそ。ゴンドラに乗り、ソロで歌った「Virgin Snow~初心~」は、まるで主演女優が長台詞を言い切る名場面のような気迫を感じた。恋しさをつのらせるバラードを切なく歌ったかと思えば、「ラッキー7」で強気な女性に早変わり、表現者としての度量を感じる公演となった。

 パフォーマーの5人は、それぞれメインでダンスを披露する見せ場も。坂東は「紫陽花カレイドスコープ」で傘を持って虹をバックに練り歩く。その姿に、アニメ映画を見ているようなピースフルな気持ちが湧く。坂東のかわいさを存分に引き出していた。

 リーダーの重留がメインで踊ったのは「太陽と向日葵」。ロングヘアをたなびかせて情熱的に踊る姿を見ていると、彼女にとっては体はもちろん髪の毛の先でさえも、意のままに動かせるのではと思うほど、神経が研ぎ澄まされているようだ。

 中島は「初恋」で、歌詞にリンクした切ない表情を見せながら、アクロバティックな動きを披露。しなやかで軽やかな中島のダンスは、普段のキュートな印象からは、想像もできないほどクールで惚れ惚れとする。

 佐藤は「さよなら、アリス」を8頭身を活かして伸び伸びと踊る。長身のパフォーマーはダイナミックな表現ができる一方で、長い手足が振られる動きに耐えるだけの身体能力が必要だ。優雅に見える舞いも、肌を艷やかに輝かせる汗に高度な技が組み合わさっていることがわかる。

 そして、藤井は「CALL」でピアノ演奏、そして「白雪姫」でのメインダンスと、余すことなく才能を発揮。ショートヘアになったことで、藤井の顔の輪郭や鎖骨が引き立ち、中性的で現実離れした美しさとなり、Flowerの描く世界観とマッチしている。

 前ツアーで「Flowerらしさ」を掴み、今のツアーで磨きがかかった。そんな印象を持つのは、ほかならぬ彼女たちが成長し続けているからだろう。6人体制の歩みが楽しみになる公演になった。

モノクロ/カラフル、その先のFlowerの色へ

 モノクロからカラフルへ……ストーリーを追いながら、Flowerファンならピンと来たはず。「モノクロ」「カラフル」は、それぞれFlowerが1月11日にリリースしたばかりの新曲だ。

 これまで、Flowerの楽曲といえば恋愛のバラード曲、というイメージが定着していた中での新たな試みとなった2曲。ハードでダンサブルなサウンドは、これまでのFlowerのシングルのラインナップを見れば、明らかに異なるテイスト。しかし、その変化をも歌の世界観で表現していて、「Flowerらしさ」はより強固になった。

 『Flower Theater』が描いたストーリーは、恋を失い再びモノクロの世界になった主人公が、「モノクロをカラフルに染めることが生きること」という印象的なフレーズと共に、また愛を求めて歩み出すところでエンディングを迎える。主人公の新たな一歩と、Flowerが挑戦していく姿がリンクする展開が、映画の世界から現実に戻る感覚と似ているように思えた。

 会場からは大きな拍手が湧き上がった。鳴り止まない「アンコール」の声援に応えて再登場したメンバーは、ツアーTシャツにデニム姿とナチュラルな笑顔。中島が肩開き、真波が袖なし、藤井がへそ出し、と大胆にカットしたTシャツのリメイクにも、個性を感じられる。

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 メンバーの挨拶も、佐藤が「精いっぱい頑張っていきたいと思いますので、みなさん引き続き応援ありが…あ、引き続き…応援よろしくお願いします」と大事なところで噛んでしまい、観客から「かわいー」と合いの手が入るフレンドリーな雰囲気に。

 中島が「今日は来てくれて、ありが〜?」と、観客に「ありがるん」のコールアンドレスポンスをおねだりすると、鷲尾から「スベってるよ」とツッコまれる場面も。実は、このツッコミは藤井からの耳打ちだったことが判明。中島はめげずに、藤井に広げてもらって流行語大賞を狙っていきたいと話すが、藤井からは「絶対ヤダ(笑)」と即答。軽妙なやりとりで笑いを誘った。

 順番にファンへの感謝の言葉と、そしてこれからも『Flower Theater』というコンセプトを軸に進化を遂げていくことを誓い、ラストは「TOMORROW ~しあわせの法則~」を観客と共に歌った。Flowerの明日は、「Flowerらしさ」と「新たな挑戦」、そして「E-girls」という様々な色に満ちている。

(文=佐藤結衣)

【『Happiness LIVE TOUR 2016 GIRLZ N' EFFECT THE FINAL』セットリスト】
01.人魚姫
02.瞳の奥の銀河(ミルキーウェイ)
03.Blue Sky Blue
04.紫陽花カレイドスコープ
05.太陽と向日葵
06.秋風のアンサー
07.初恋
08.やさしさで溢れるように
09.熱帯魚の涙
10.さよなら、アリス
11.他の誰かより悲しい恋をしただけ
12.CALL
13.Virgin Snow~初心~
14.ラッキー7
15.モノクロ
16.Dolphin Beach
17.Dreamin' Together
18.Imagination
19.Flower Garden
20.白雪姫
<アンコール>
21.カラフル
22.TOMORROW ~しあわせの法則~

■リリース情報
Flower『モノクロ/カラフル』
配信日:2017年1月11日(水)
・初回生産限定盤(CD+DVD)
価格:¥1,620(税込)
CD
1.モノクロ
2.カラフル
DVD
1.モノクロ Music Video

・通常盤(CD)
価格:1,080(税込)
1.モノクロ
2.カラフル
3.人魚姫 ~五重奏~
4.モノクロ(instrumental)

・期間生産限定盤(CD)
価格:¥700(税込)
1.モノクロ
2.カラフル

■関連リンク
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Flower Official Twitter

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