Flower・鷲尾伶菜と作詞家・小竹正人が語るグループの成長「『花時計』以降、声質が変わってきた」

Flower・鷲尾伶菜と作詞家・小竹正人特別対談

  E-girlsの中心メンバーとしても活躍するガールズグループ・Flowerが、12月16日に11thシングル『瞳の奥の銀河(ミルキーウェイ)』をリリースした。同作はそれぞれテイストの違う4曲を収録しており、新体制となったFlowerが、次の大きな一歩を踏み出すために挑戦した意欲作といえる。今年は初のグループ単独全国ツアー『Flower LIVE TOUR 2015“花時計”』も成功させ、快進撃を続けているFlowerが掴んだ“成長”とは? 今回リアルサウンドでは、ヴォーカリストの鷲尾伶菜と、作家としてグループの躍進を支え、同作では収録曲すべての作詞を手掛る小竹正人との対談を企画。全国ツアーの感想に始まり、小竹が感じるFlowerの成長や、各楽曲に込められたメッセージ、Flowerが“大人っぽい”楽曲を歌い続ける理由などについて、大いに語ってもらった。

「小竹さんの書く歌詞って、メロディの埋め方が特徴的」(鷲尾)

――前回のインタビュー【Flower・鷲尾伶菜と市來杏香が見据えるグループの未来 「良い意味でE-girlsと対照的になれたら」】は全国ツアーの前でした。今回はまず、その後『Flower LIVE TOUR 2015“花時計”』を乗り越えて何を得たか、手応えという部分から聞かせてください。

鷲尾伶菜(以下、鷲尾):Flowerとしては初めての単独ツアーだったので、プレッシャーも沢山ありましたが、楽しかった部分も多くて。E-girlsとはまた違った雰囲気でツアーをやることができて、Flowerが魅せていくべき今後の方向性が明確になり、自分がどう努力していくべきなのかがわかりました。そして、今回のシングルからは6人体制になったので、トークや煽りも上手くなりたいし、ライブを2時間ひとりで乗り切れるようなボーカルにならなければならないと気合いを入れ直しました。

小竹正人(以下、小竹):『花時計』以降、すごく声質が変わってきたんです。前よりもっと気持ちよく声を出せるようになったと感じました。今回のシングルは4曲とも世界観が違うので、どういう風にライブで表現するか楽しみですね。

――確かに、今回は小竹さんが4曲とも歌詞を書き下ろしていて、いずれもイメージが違いますね。以前のインタビュー【EXILEなど手がける作詞家・小竹正人が明かす表現技法「三代目の作詞に関しては良い意味で公私混同」】で、「レコーディング現場ではより感情を込めて歌えるように、歌詞の内容や世界観についてディスカッションをする」と伺いましたが、今作はどんな風に制作が進んだのでしょうか?

小竹:『瞳の奥の銀河(ミルキーウェイ)』はアニメ『金田一少年の事件簿R』(日本テレビ系)のエンディングに書き下ろしたものなので、まずはその世界観とリンクさせることを意識しました。漫画の登場人物って目がキラキラしているなと思ったり、「歌詞に『事件』というワードを入れてみよう」と考えたり、断片的に思いついたものをつなげていきました。

鷲尾:歌詞を受け取ったとき、『金田一少年の事件簿R』とどうリンクしているのか、すごく楽しみだったんです。「嘘」や「事件」といったミステリアスなワードと恋愛を掛けていて……片思い中の女子なら、誰でも彼の謎めいている部分に惹かれたりするじゃないですか。そういうリンクしているところが素敵だなと思ったんです。

――この歌詞には、「銀河(ミルキーウェイ)」や「横顔(プロフィール)」など、印象的なルビが振られたフレーズが多く登場します。

小竹:「横顔」は少し意外かもしれませんが、英語で「profile(プロファイル)」というので、それを日本語調に「プロフィール」としただけなんです。

鷲尾:耳で聴いただけだと、ほとんどの人が「横顔」のことだって分からないと思います。でもそれがまたいいですよね。ぜひ歌詞を読んでいただきたいです。

――ちなみに鷲尾さんは、このアニメで声優にも挑戦しましたよね。

鷲尾:そうなんです。慣れないお仕事ですごく難しかったのですが、アニメは大好きなので、すごく光栄でした。レコーディング現場では3つのマイクを9人くらいでローテーションしていて驚きました。でも、金田一一役の松野太紀さんが親切にアドバイスしてくださって、いい緊張感の中で演じられました。

小竹:テレビを付けたらちょうど鷲尾の出ている回が放送されていて。「テレビから聴いたことのある声がするなー」と思っていたら(笑)。

――今回の楽曲を並べたとき、小竹さんのこれまでの作品を考えると「ラッキー7」が新しいと感じました。この曲は、どんな経緯で書くことになったのですか?

小竹:ずっと「ラッキー7」というテーマで強い女性を書いてみたかったけれど、なかなかその機会がなかったんです。でも今回、シングルに収録する4曲がすべて違った曲調になると聞いて、楽曲会議でHIROさんとも話し合って、候補の楽曲の中から真っ先にこのデモを選ばせてもらいました。この曲のイメージに関してHIROさんに相談していたときには、すでに<ラッキー7が出たなら あなたに私をあげるわ>というフレーズが頭に浮かんでいて。

――以前小竹さんにお話を伺ったときには、「英語詞はわかりやすいものしか使わない」ということでしたが、今回は複雑なフレーズがあって驚きました。

小竹:この曲に関しては、アメリカ時代の自分を思い出してしまって、英語詞が増えたんです。当時はロサンゼルスに住んでいて、落ち込んだりするとロスからラスヴェガスまで車を一人で運転するのが常だったんですが(笑)、延々と続く砂漠を運転していると落ち込んでいたのが徐々に直って、すごく勇ましい気持ちになっていって。果てしなく広がった砂漠の中に、本当にベガスの町の光がポ~ッと見えた情景がフラッシュバックしました。

――一方の鷲尾さんは「英語の詞もどんどん歌ってみたい」と言っていたので、この曲は良い意味で挑戦になったのではないでしょうか。

鷲尾:そうですね。表現の仕方については悩むところがあったので、一人で曲を延々と聴いて、とにかく歌詞を読み込みました。この曲は“カジノにいる小悪魔的な女性”というテーマなので、ちょっと背伸びする感覚でしたね。小竹さんからは「『カタい男性を纏って生きてみたい』という女性になりきって」と言われました。

小竹:「ダイヤモンドのようにガードがカタい男性を落とす小悪魔的な女」という感じですかね。スタッフともこの曲に関しては「いい意味で裏切っていこう」と話して、大人っぽい歌い方をしてもらいました。

鷲尾:プライドが高い女性を演じたという感覚です。<あなたに私をあげるわ>って、あからさまに上から目線じゃないですか。実際はネガディブな性格なので(笑)、自分の中でスイッチを入れて臨みました。

――続く「imagination」も、英語詞を大胆に使った楽曲です。

小竹:これは、自分史上最速で書きあがった歌詞で……。1時間掛かってないんです。曲を受け取った数時間後には鷲尾と歌合せをやっていた(笑)。

鷲尾:私たちもびっくりしたんです! すごく早かったですよね。

――前のインタビューでは早くて2~3時間と教えてもらったので、大幅更新ですね。

小竹:いろんな人の恋愛話を聞いていると、振り回されている女性って結構多くて。基本的に恋愛の歌詞は“魔性の女”的なものが多いのですが、ずるい男性を描くのは面白いかもしれないと考えたときに、<私、あなたの何なのかしら>という歌詞が浮かびまして。そこからはアイデアがスラスラ出てきて、気づいたら書き終わっていました。

鷲尾:この曲は、自分のなかでは「一番若い曲かな」と思っていたので、可愛らしすぎないように、でも暗くなりすぎないように、ちょうどいいバランスを見つけながら、歌詞がより伝わるにはどうすればいいかを意識しました。共感してくれそうな若い世代のファンも多いですし、私も好きな曲なので、人気が出てほしいなと思います。

小竹:それぞれ、「ラッキー7」が20代、「Imagination」が10代、「Virgin Snow~初心~」が30代の女性というイメージなんですよ。この曲はアメリカンポップスな感じがあって、そのあたりから感じた若さを歌詞にも反映させています。

鷲尾:小竹さんの書く歌詞って、メロディの埋め方が特徴的なんですよね。歌っていて楽しいので、全曲「これはこうやって歌った方が面白いかも」と思いながらレコーディングしています。「Imagination」だと、<どうして>が3つあるから、全部歌い方を変えてみたくなって、実際に歌い分けました。

小竹:4曲のなかで、この曲が一番どう歌うか想像つかなかったんです。でも、実際打ち返してくれたものを聴いて安心したし嬉しかったです。この曲のパフォーマンスも早く見たいですね。

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