吉田凜音、ようなぴ、根本凪…『E TICKET RAP SHOW』が“アイドル×ラップ”で伝えたかったこと

EチケラップALが伝えたかったメッセージとは

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 ひとつ気になったのは、人形劇のストーリーだった。仲間を作って森の外に行こう。そんなシンプルなメッセージだった。その一方で主人公は、家でインターネットばかりしていて、そのくせ自分を特別な存在だと思っている、というキャラクターだった。

 その主人公は39歳。実はE TICKET PRODUCTIONと同い歳なのだ。その点に気づいたとき、おそらくは彼自身を投影させた人形劇だったのだろうと考えた。人形劇でのメッセージも含めて。

 E TICKET PRODUCTIONは、自分自身のラップの音源を残さない。その代わり、アイドルにラップをしてもらう。そして、人形劇の人形たちには自分のメッセージを託していた。

 そんなE TICKET PRODUCTIONがプロデュースした『E TICKET RAP SHOW』のリリースパーティーは、アイドルたちのふだんの活動では見れない面を見せてくれるイベントだった。ふだんからラップをしているアイドルは一組もいないのだから。

 そして、こうした試みが日本のフィメール・ラッパーのシーンを少しでも刺激してくれれば、きっと面白いことになるはずだ。遅咲きのヒップホップのプロデューサーとして、E TICKET PRODUCTIONにシーンで活躍してほしいと改めて感じたイベントでもあった。

■宗像明将
1972年生まれ。「MUSIC MAGAZINE」「レコード・コレクターズ」などで、はっぴいえんど以降の日本のロックやポップス、ビーチ・ボーイズの流れをくむ欧米のロックやポップス、ワールドミュージックや民俗音楽について執筆する音楽評論家。近年は時流に押され、趣味の範囲にしておきたかったアイドルに関しての原稿執筆も多い。Twitter

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