SMAP、でんぱ、OKAMOTO'S、雨パレ、金爆……聴くと“何か”を思い出す作品たち

 Ásgeir、SOHN、How To Dress Wellといった海外のアーティストに対するシンパシー、日本のシーンを変えて新しい時代を切り開くんだというモチベーションとともに登場した雨のパレードは、メジャー2ndシングル『stage』で(おそらく初めて)楽曲を通してオーディエンスと正面から向き合った。ライブにかける思い、「そこで自分は何を残せるんだろう?」という葛藤、そして、「会場に足を運んだ人たちに自分たちの音楽が響けば、必ず世界は変わる」という決意。この曲によってリスナーとつながることが出来れば、このバンドの存在は間違いなく、さらに大きなフィールドに浸透していくはず。表現の本質がコミュニケーション(またはディス・コミュニケーション)であることを改めて突きつけられる素晴らしいシングルだと思う。

雨のパレード 「stage」 (MUSIC VIDEO Short ver.)

 ゴールデンボンバーの新作『フェスベスト』は“フェスの帰りに聴く専用CD”。「女々しくて」「元カレ殺ス」「†ザ・V系っぽい曲†」などフェスでよく披露している楽曲を集めているのだが単なるベストではなく、わざわざ“フェスベスト”と名付けるところが目から鱗というか、本当に秀逸。フェスに来る人たちはフェスで盛り上がれる曲が好きなんだから“フェスでよくやる曲を集めましたから帰り道に聴いてくださいね”と言えば手に取ってくれるのでは……ということだと思うが、そこにはどうにかしてリスナーとつながりたい。少しでも多く自分たちの曲を聴いてほしいという鬼龍院翔の執念にも似た思いを感じてしまう。『ローラの傷だらけ』(2014年)は通常盤のみ、特典なし。『死 ん だ 妻 に 似 て い る』(2015年)は各メンバーの歌唱/体臭付きカード入りであくまで雑貨として発売するなど、斬新なリリース方法を編み出し続けているゴールデンボンバー。その根底にあるのは音楽とは何か、もっともふさわしいリリース形態とは何かという追求なのだ、いやマジで。

ゴールデンボンバー「フェスベスト」発売告知動画

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「音楽シーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる