結成3周年イベント『FlowBack 3rd Anniversary Live』を見た
FlowBackが3周年イベントで体現した、ポップミュージックの刺激と冒険
「3周年ということで、僕たちのやりたいことを詰め込んだライブにしたい」。MC中にTATSUKIがそう語った通り、「作家性の高いダンスボーカルグループ」という、この5人の魅力が様々な角度から詰め込まれたライブだった。
2013年の結成以降、作詞作曲、振り付け/構成、スタイリング、グッズ制作に至るまでを各メンバーがプロデュースする活動で人気を集め、2016年5月にインディーズ1stシングル『AfterRain』をオリコンウィークリー16位(デイリー4位)に送り込むと、同年9月にはクリエイティブ集団・Digz Inc. Group のHIROをサウンドプロデューサーに迎え、『Come A Long Way』でメジャー・デビューを果たした5人組ダンスボーカルグループ、FlowBack。12月7日に発売されたばかりの最新シングル『Heartbreaker』のリリースを前にした11月26日、彼らの結成3周年を祝う『FlowBack 3rd Anniversary Live』が開催された。
まずは5人が登場してブルーノ・マーズの最新作『24K Magic』のタイトル曲「24K Magic」をBGMにオープニング・ダンスを披露すると、ここからはFlowBackと所縁のあるシークレット・ゲスト3組が3周年を祝福。ユーモア満載のパフォーマンスで盛り上げた天才凡人、六本木Morph-Tokyoでの初共演を振り返ったPrizmaX、セクシーな女性ボーカル/ラップとEDMやトラップで会場をブチ上げたlolは、FlowBackとのエピソードを披露しながら熱演を繰り広げ、会場はすべての出演者にとってもホームのような雰囲気だった。
FlowBackのステージは、その熱気を引き継ぐ形で、これまでの道のりに思いを馳せる「Come A Long Way」でスタート。2ステップ/UKガラージ譲りのビートにダブステップ特有のワブルベースを加えた楽曲で早速会場を沸点に持っていくと、以降も80年代風シンセとJUDAIのラップが印象的な初披露の新曲「Young Love」やトロピカル・ハウス調の「AfterRain」など、粒揃いの楽曲で彼らの世界観に引き込んでいく。
メンバーが作曲を担当し、セレーナ・ゴメスやマイリー・サイラス、嵐、東方神起などに楽曲提供をするアフターロミオのようなボーイズグループが海外にも存在するが、FlowBackの音楽はそれ以上にストリートに根差した感覚があり、ヒップホップやR&B、トラップ、EDM/クラブ・ミュージックなどが境目なく溶け合う現在のポップ・シーンの魅力が詰まっている。ジャスティン・ビーバーが作家性を追究した15年作『パーパス』や、カシミアキャットらを迎えたアリアナ・グランデの諸作、もしくはトラップなども取り入れるケラーニや三浦大知のようなアーティストと同じように、その楽曲にはポップ・ミュージックとしての刺激的な冒険がある。
リーダーのTATSUKIが担当するキレのある振り付けやライブの構成の妙も、楽曲の魅力をより広げる役割を果たしている。5人揃ったダンスを披露しながら、ラップを繰り出すJUDAIまでもが安定したピッチでボーカルを担当し、80年代風のシンセが失恋の痛手をきらびやかなポップ・ソングに変える彼らの新たなキラー・チューン「Heartbreaker」では、FlowBackの文字をあしらった台を使い、5人のフォーメーションを立体的に見せる演出で会場が沸騰。一転、結成当初から大切にしてきた「落ち葉」では椅子に腰を下ろし、生のアコースティック・ギターと共にそれぞれの歌声に焦点を当てていく。ヒップホップR&B由来のビートに甘いメロディが合わさった「Be Mine」では、ファンと一緒に振り付けで盛り上がるなど、ダンスや構成、観客とのコール&レスポンスまで様々な要素が「楽曲を生かすため」に考え抜かれ、3年間で手にした5人の多彩な表情を伝えるようだった。