BLUE ENCOUNT、初武道館でオーディエンスと交わした“契り” 「もっとデカい夢が見たい」

BLUE ENCOUNT、初の武道館公演レポ

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田邊駿一(Vo・Gt)

 曲が終わると、田邊がオーディエンスに向かって話し始める。結成12年になること。その間、バンドを馬鹿にされたり、反対されたこともあったこと。悔しい思いも情けない思いもたくさんしたことーー田邊は、声を震わせて正直な想いを明かしながらも、それでもバンドで夢を追い続けたら、こんなにも多くの人に応援してもらえたと、感謝を述べる。そして、「でも、終わりたくないんだよ、ここで。お前らの力が必要なんだって。もっとデカい夢が見たい」と続け、来年の3月に幕張メッセでワンマンをやることを発表した。そして、その胸に抱く思いを抑えきれなくなったように、涙交じりの声で<もっと光を>と歌い始め、本編最後の曲「もっと光を」へ。間奏では、田邊が「俺とお前らはBLUE ENCOUNTです。よろしく」と叫ぶ。「もっと光を」は、これまでも多くのライブの大事な場面で演奏されてきた、ブルエンの原点を刻んだような曲だ。ブルエンとファンをつなぎ、一緒に歌い、想いを分かち合う歌ーーキラキラと光るテープが飛ぶ演出と相まって、その4人と1万人によるシンガロングは、ドラマチックなクライマックスを描いてみせた。

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 アンコールでは、晴れ晴れとした笑顔で戻ってきたメンバー。田邊はアルバム制作が終わったことを明かしながら「すごいのできそう」とニヤリと笑う。そしてそのアルバムの中から新曲を披露。ラブソングにも聞こえる歌詞と瑞々しいメロディが新鮮な、ブルエンにとっては新たな挑戦と言える曲であった。さらに、バンドが歩んできた道と、オーディエンスの過ごしてきた日々を重ね、未来に向かって鼓舞する「NEVER ENDING STORY」へ。そして最後の曲は「HANDS」だった。紙吹雪も舞う中、1万人以上がひとつの歌を共有し、多くの手が振り上げられる光景は、まるでバンドとオーディエンスが契りを交わすような、巨大な一体感を生み出していた。

 筆者がこの日、強く印象に残っているのは、田邊や他のメンバーが繰り返し「BLUE ENCOUNTは僕らとあなたたちひとりひとりがいて成り立っている」という発言をしていたことだ。結成してから12年、決して順風満帆だったわけではなく、解散の危機もあったという。そんなブルエンは、何度もリスナーの言葉や笑顔に救われ、ここまでバンドを続けることができたのだろう。今回の武道館公演では、その一朝一夕では生まれない思いの強さ・濃さが、満員のオーディエンスの喜びと重なることで、特別な一夜を作り出していたと思う。

 そして、その物語は、この先へと続いている。来年リリース予定の新アルバム『THE END』(「大事なスタートの1枚になる」と思い、このタイトルを付けたという)と、幕張メッセ公演も含む全国ツアー。ここで終わりたくない、次の舞台へ向かいたいという強い望みと意志によって、これからもBLUE ENCOUNTというバンドの“夢”は、更新され続けていくだろう。

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(取材・文=若田悠希/撮影=浜野カズシ)

■セットリスト
BLUE ENCOUNT『LIVER'S 武道館』
2016年10月9日(日)日本武道館

1. DAY×DAY
2. HALO
3. MEMENTO
4. 声
5. Survivor
6. アンバランス
7. JUMP
8. HEEEY!
9. ONE
10. ANSWER
11. YOU
12. はじまり
13. LAST HERO
14. JUST AWAKE
15. THANKS
16. LIVER
17. ロストジンクス
18. だいじょうぶ
19. もっと光を

<アンコール>
20. 新曲
21. NEVER ENDING STORY
22. HANDS

■関連リンク
BLUE ENCOUNTオフィシャルサイト

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