SuGが語る、ギリギリの“バランス感”を構築する方法「でっかい軸に立ち続けることが重要」

SuGが考える、ギリギリの“バランス感”

「大声で『KILLしたい!』と叫ぶことでストレス発散になったら」

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shinpei(Dr.)

ーー「KILL KILL」のMVは、きゃりーぱみゅぱみゅなどを手掛ける増田セバスチャンですが、彼を起用した経緯は?

武瑠:彼がきゃりーちゃんをやる前からちょこちょこ交流があって。活動休止している時にもよく遊んだりしていたし、「いつか一緒にやりたいね」という話もしていたんですね。で、増田さんが昔出した小説(『家系図カッター』)が最近になって文庫化され、それを頂いて読んだら半分自伝的な内容で。コンプレックスを作品づくりへと昇華する考え方とか、すごく共感するところが多かった。彼が過激なまでにポップになっていった経緯というのが、僕らの今度の楽曲「KILL KILL」の、「必要悪をポップにKILLしたい」っていうテーマとも合っているのかなと思ったんですよね。そんな風に、まるでタイミングに導かれるような感じで決まっていきました。

ーーきゃりーぱみゅぱみゅのカラフルなMVとはかなり違い、ダークな映像世界になっていますよね。

武瑠:きゃりーちゃんのMVでは、最終的にカラフルなコーティングがされていますけど、実は根底に流れているマインドはかなりダークで、そこの部分は僕らとかなり近いと思うんですよね。セバスチャン自身バンドも好きで、いつか男性アーティストを手掛けたいと思っていたみたいで、彼自身も「夢が叶った!」っていう風に言ってくれましたね。男性アーティストを手がけたのは僕らが初めてだったみたいです、浜田ばみゅばみゅを除けば(笑)。

ーーこの曲の歌詞は、どのようにして浮かんだのでしょうか。

武瑠:最初に「KILLしたい」という言葉が浮かんだんですね。おそらくその時、誰かを「殺したい」って思ったんですよ。

yuji:さらっとヤバいこと言ってる。

武瑠:いやいや、もちろん妄想ですよ(笑)。今となっては、誰に対してそう思ったのか忘れてしまったんだけど。で、「殺したい」だとちょっとストレート過ぎるなと思って、もう少しシニカルでユーモアもあるフレーズってなんだろうって考えた時に「KILLしたい」というフレーズが思いついたんです。「KILLしたい」とかいうと「不謹慎」って言われるかもしれないけど、ライブハウスでみんなで大声で「KILLしたい!」って叫ぶことでストレス発散になったらいいなと思って。

ーーなるほど。

武瑠:それで、「僕ら何に対して『KILLしたい』って思っているのだろう?」と考えた時に、じゃあファンのみんなに募集してみようかって言う話になりました。予想以上に集まりましたね。

Chiyu:ツイキャスで歌詞を募集したんですけど、最初20分くらいでやめるつもりが、1時間ずっと鳴り止まなかったですね(笑)。

yuji:みんな、よっぽどストレスが溜まっているんですね(笑)。

武瑠:かなりいいフレーズがたくさん送られてきたので、そこからどうやって選んだらいいのかも相当悩みましたね。結果、選んだのが「自分だけ加工アプリするやつKILLしたい」って言うフレーズ。女の子同士で写真を撮って、自分の顔だけアプリで可愛くしてインスタにアップするやつ、マジむかつくみたいな。「女子高生川柳」とかあったら優勝しそうな、ザ・現代っていう感じのキラーフレーズですよね(笑)。

ーー「すぐに不謹慎とか言うやつKILLしたい」というのも、今っぽいフレーズです。

武瑠:それは僕が考えました。何やっても「自由」なのも、何やっても「不謹慎」って言うのも、どちらもつまらない世の中になってしまうと思っていて。そのバランス感は大事だし、そのギリギリのラインを狙おうと。そのギリギリのラインの真ん中に、でっかい軸があって、そこは叩かれようがへし折られようが、立ち続けていることが重要だと思うんですよ。それでアルバムのジャケットは、「たとえ骨だけになっても、中指を立てて反骨心を持ち続けよう」と言うメッセージを込めてああなりました。骨をモチーフとした作品ばかり作っている「髑髏職人」の人にイメージ図を渡し、それを基に描いてもらったんです。

ーー他の曲も、ネガティブなテーマを取り上げていても、最終的にはポップで前向きな方向へ持っていくものが多いですよね。

武瑠:歌詞もそうですし、サウンドにもそれが直結していますね。重かったりエグかったりするフレーズがあっても、そこにポジティブなメッセージやポップなメロディを乗せているんです。

ーー今回のレコーディングで、新たに試みたことはありますか?

武瑠:今回、初めて英語の発音をネイティブの女性にチェックしてもらいました。その人にはコーラスでも参加してもらったんですけど、そのおかげで声質のレンジがグッと広がりました。それもアルバム全体をカラフルな印象にしていると思います。

SuG「KILL KILL」

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