SuG、起死回生の新作『BLACK』完成 その驚きの音楽的進化とは?

3年というスパンに込められた意味

 SuGがメジャー4作目となるニューアルバム『BLACK』を3月4日にリリースする。2014年の怒涛のシングルリリースを経て発表される本作は、オリジナルアルバムとしては2012年4月発売の『Lollipop Kingdom』以来3年ぶり。途中に約1年間の活動休止期間を挟んだものの、アルバム発売間隔としては過去最長のスパンとなってしまった。

 ではこのアルバムがそれだけ難産だったのかというと、実はそういうわけでもなさそうだ。事実、フロントマンの武瑠(Vo)は『Lollipop Kingdom』に続くアルバムの構想について、すでに2012年の時点で何度かコメントしており、ソロプロジェクト・浮気者に伴うインタビュー(2013年11月)の際にはこの『BLACK』というアルバムタイトルについても公言している。そういう意味では、この異色作『BLACK』を世に放つまでに、あえてこれまで以上に長い時間をかけたと予想される。

 また本作をドロップするまでに『MISSING』『B.A.B.Y.』『CRY OUT』という3枚のシングル(活動休止前に発表した『sweeToxic』を含めれば計4枚)を2014年に連発したことも、ある意味では計画的と言えるだろう。メタリックな色合いを放つシリアスな疾走系『MISSING』、TeddyLoidをアレンジャーに迎えたキラキラしたポップチューン『B.A.B.Y.』、そして90年代のオルタナティブロックにも通ずる作風のミディアムロック『CRY OUT』と、シングル表題曲はどれも活動休止前とはひと味違った風味の楽曲ばかり。そういう意味では、コンセプチュアルなアルバム『Lollipop Kingdom』のあとにEDMやファンクのテイストをいち早く導入した『sweeToxic』も、アルバム『BLACK』への布石、あるいは予告編と呼ぶべき楽曲だったと言える。つまり、SuGは意欲作『Lollipop Kingdom』を経てさらなるステップアップを続けるために、バンドの変化 / 進化する姿をシングルという形で少しずつ見せていったのだ。それくらい『BLACK』というアルバムは、これまでのSuGをイメージして聴くと驚かされる進化が感じられる1枚なのだ。

 このアルバムが完成した直後、僕は幸いにもいち早く聴く機会を得た。これまでの武瑠の発言、そして次々に発表されたシングルを通じてSuGの変化 / 進化は重々に承知していたはずだが、いざアルバムを通して聴いてみると自分が想像していた以上の進化を果たしていたことに驚かされた。なんて言うんだろう……“すごいアルバム”であることは頭で十分に理解できるのだけど、それを具体的に言い表す言葉や表現が見つからない。1曲1曲の出来は素晴らしいのだけど、何度か聴き返し、そして何度か文章で表現しようとするものの、うまい言葉が浮かんでこないのだ。アルバムを聴いてから数日後、偶然武瑠と会う機会があったが、そこでも「うまい言葉が見つからないけど、とにかくすごいアルバムだね」としか伝えることができなかった。

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