ピコ太郎「PPAP」なぜ世界的に流行? 古坂大魔王のプロデュース力を探る
また、「PPAP」の世界的流行は芸人にとっても新たな希望になったと柴氏は語る。
「ピコ太郎の『PPAP』は、“ネタ”ではなく“楽曲”として10月7日に各サービスで配信がスタートしました。しかもApple MusicやSpotifyを通じての全世界配信も実現した。ということは、それらのサブスクリプションサービスを通じて世界中でこの曲が聴かれることが予想できます。そういったサービスでは聴かれた回数によってアーティストに収益が還元されるので、多額の収入が発生する可能性がある。これはお笑いと音楽の歴史を紐解くと、とても画期的なことだと思います。90年代の一発ギャグはテレビで披露して視聴者に飽きられて終わりだった。しかし、00年代に『着ボイス』が流行したことで、消費されて終わりではなく、それを収益化することが可能になった。00年代中盤に流行したムーディー勝山の『右から来たものを左へ受け流すの歌』は携帯電話向けコンテンツだけで2億円以上の売り上げになったそうです。つまり、一発ギャグが芸人にインカムをもたらすようになった。さらにピコ太郎の突発的なブレイクは、それがグローバルな規模で広がるという新しい時代の到来を意味している。これは同じように“音楽×お笑い”の芸をやっている芸人にとっては希望の持てる出来事だと思います」
古坂大魔王とRADIO FISHは共に今年の夏フェスに出演していた、と柴氏は話す。
「ピコ太郎の公式ホームページのプロフィールには『目指せ紅白歌合戦とサマソニ』とあります。これがフジロックでもロック・イン・ジャパンでもなくサマソニであることにも、ちゃんと意味がある。古坂さんは今年サマソニに出演しているんです。会場内で『WOWOWぷらすと』特設ブースの司会を担当していて、ちなみに僕もその番組で古坂さんと共演していました。古坂さんが司会を担当した日ではなかったのですが、番組にはその年のサマソニのBEACH STAGEに出演していたRADIO FISHもゲストに来ていました。でも、そのわずか1〜2カ月後に自分のプロデュースするピコ太郎の楽曲がRADIO FISHに勝るとも劣らない世界的ヒットになるとは微塵も思っていなかったと思います。僕も正直全く予想していなかった。おそらく紅白は時期的にもばっちりだし、今のブームが加速した状況なら、何らかの形で出演できるんじゃないかと思います。でも、個人的にはそれよりも来年のサマソニに出てほしい、という気持ちのほうが強いですね」
ファッションイベント『Girls Award』での「PPAP」生披露など、徐々に本人露出も目立ち始めてきたピコ太郎。年末に向け、歌番組やお笑い番組が増えていくことからもブームの波はネットにとどまらず、世間一般まで波及していくだろう。
(取材・文=渡辺彰浩)