北欧パンク文化は尊敬できるものばかりだったーーFORWARD・ISHIYAスカンジナビアツアー体験記

FORWARDスカンジナビアツアー体験記

 OULUに住むツアーに同行してくれたJaniの家に泊まりゆっくりと休み、朝食をとり、ここでJaniとはお別れ。

 今日はスカンジナビア最終日のTAMPERE。この街はヘルシンキまで2時間ぐらいの街で、毎年夏にはPUNTALA ROCKフェスという大きなパンクフェスをやっている街で、過去にも日本からCRUDE、MUSTANG、九狼吽などが出演し、今年も鉄アレイが出演している。

 ほか海外からも有名ハードコアバンドが多数出演しており、夏の北欧パンク最大のフェスを行なう街であう。

 今回のツアーオーガナイザーであるJUKKAもこの街に住んでおり、フィンランド最大の都市ヘルシンキよりも、フィンランドハードコアはTAMPEREを中心に栄えているように思える。

 この日にやるライブは当初Hässäkkä-päivätフェスへの影響を考えシークレットライブであったが途中から発表され、今回のFORWARDのツアーTシャツの日程にもプリントされた。

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TAMPEREのライブハウスVASTA VIRTA KLUBI。パンクスが中心となって経営するライブハウスで、非常に素晴らしいところだった。

 この日のライブハウスVASTA VIRTA KLUBIは、TAMPEREパンクスの仲間のような人間がやっており、昼間から2階にあるBARもやっていて非常にやりやすそうな場所だ。

 ツアーオーガナイザーのJUKKAも「ここはベストな場所だ。サウンドも素晴らしいし、経営する人間たちも素晴らしい」と言っている。ツアー最終日にふさわしい場所を選んでくれて非常に嬉しく思った。

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TAMPEREのバンドBACKLASH。ギターのSEVEは日本語も話せ、日本の友人もたくさんいる日本ハードコアマニアであり日本通だ。

 ここTAMPEREにはJUKKAともうひとりSEVEという人物がおり、SEVEは少し日本語も話せるほどの日本通で、この日出演する彼のバンドBACKLASHも、日本のハードコア、特にBURNING SPIRITSハードコアと呼ばれるバンドの影響が非常に大きく、サウンドのみならずファッションまでもが故チェルシー(POISON、DEATH SIDE、PAINT BOX)を彷彿させるアロハシャツに派手な短パンというファッションだ。

 SEVEの両親もいつもライブにくるようで、この日も日本のハードコアのTシャツを着て会場に現れた。

 ライブも非常にレベルの高いバンドばかりで、フィンランドのパンクバンドの質の高さに驚いた。

 日本のハードコアを基本としながら独自のサウンドを追求し、北欧ならではのエッセンスやノイズコア的な要素などもあったりして、どのバンドも非常に素晴らしかった。

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 そしてFORWARDのライブも大いに盛り上がり、オーガナイザーであるJUKKAも盛り上がってくれ、優秀の美を飾れたと思う。

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 終了後も、地元のパンクスや2階のバーにいる一般客たちとも盛り上がり、店が終了した後も近所の公園で飲み明かし、スカンジナビアツアーを終了した。

 初めて訪れたヨーロッパだったが、北欧のシーンは音楽的にも人間的にも非常に素晴らしく、また是非来たいと思わせる場所であった。

 スウェーデン、フィンランド両国共に、言葉や通貨の違いはあったが、素晴らしい扶助の精神がこの地でパンクを根付かせているのだろう。北欧のパンク文化は最高であったとともに、尊敬できるものばかりだった。

 こうしてバンドをやっていなければ訪れることなどできない国で、交流を深め「また来い」と言われることは、生きている上で最大の喜びである。

 同時に、どんな国でも本気のパフォーマンスをすれば必ず心は通じ合えるということを体験できる。

 どんな機会でもいい、もしチャンスがあるならば是非海外へ行き、言葉も文化も食べ物も違う人間たちと心を通じ合える体験をして欲しいと心から願う。

■ISHIYA
アンダーグラウンドシーンやカウンターカルチャーに精通し、バンド活動歴30年の経験を活かした執筆を寄稿。1987年よりBANDのツアーで日本国内を廻り続け、2004年以降はツアーの拠点を海外に移行し、アメリカ、オーストラリアツアーを行っている。今後は東南アジア、ヨーロッパでもツアー予定。音楽の他に映画、不動産も手がけるフリーライター。
FORWARD VOCALIST ex.DEATH SIDE VOCALIST

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