石崎ひゅーいはなぜクリエイターの評価を集めるのか 兵庫慎司が“目の離せなさ”について考える

 たとえば、「狂気」とか「崖っぷち」とか「ギリギリ」とか、そういうことを感じさせるすばらしいアーティストは、ほかにも何人もいたし、今も何人もいる。しかし──具体名を挙げてしまうが──たとえば、石崎ひゅーいと親交があり、今年5月3日幕張海浜公園で行われたフェス『JAPAN JAM BEACH 2016』のステージに、セッション・ゲストとして彼を招いた、クリープハイプの尾崎世界観。彼の歌も、狂気やヤバさやギリギリ感がにじみまくっているが、ただし同時に、そんな追いつめられてシリアスになっている自分を笑い飛ばすようなユーモアセンスと、「人生なんて死ぬほどの価値もない」みたいな明るい諦念のようなものを同時に持っている、この人の音楽は。

 もうひとりたとえば、銀杏BOYZの峯田和伸。「日本ロックシーンにおけるヤバい男チャート」の第1位に10年以上の長きにわたって座り続けている(と僕は思っている)、言わずと知れた存在だし、歳を追うごとにそのヤバさは削られるどころか研ぎすまされていく一方だが、ただしこの人の場合、そんな次の瞬間に砕け散ってしまいそうな危うさと同時に、たとえ他の生物を食い殺しても執拗に生き延びるみたいなものすごい生命力を、歌からもパフォーマンスからも同時に感じさせるところがある。そういえばリリースされたばかりのニューシングルのタイトルも「生きたい」だ。

  そうだ。その二者のような、「だからヤバいけど大丈夫なんじゃないか」という安全弁のようなものがないのだ、石崎ひゅーいには。

 歌っていること自体は詩的だし、ピュアだし、きれいだったりするし、「うわ、ヤバいわ、この人」みたいな箇所はない……いや、なくはないか? なくはないわ。ある。あります、よく聴けば聴くほど。だが、そんなに露骨に「うわ、ヤッバあ」みたいな感じではない。ないのに聴いているとドキドキしてしまうのは、その彼の、いわば「セーフティネットがない感じ」からきているのではないかと思う。

 そういえば、ファーストアルバム『独立前夜』のジャケットの石崎ひゅーいは、全裸だった。彼のアート・ディレクションを務めている箭内道彦氏のアイディアなのだろうと思うが、そしてここからは僕の妄想だが、あれ、石崎ひゅーいを裸にしたのではないと思う。石崎ひゅーいが裸だから、それをそのまま撮ったのだと思う。というような、むき出しのヒリヒリ感が、彼の音楽には満ちていると思う。だから、耳と目が離せなくなるのだと思う。

(文=兵庫慎司)

■リリース情報
2ndフルアルバム『花瓶の花』
価格:
初回生産限定盤(CD+DVD) ¥4,500(税込)
通常盤(CDのみ) ¥3,200(税込)

※DVD内容:★初回限定盤にはデビュー曲「第三惑星交響曲」~「花瓶の花」までの全7曲のミュージックビデオを収録。
さらにミュージックビデオ「花瓶の花」の全貌が明らかとなる、短編映画『花瓶に花』(約25分)
短編映画:『花瓶に花』・・・監督・脚本:松居大悟 / 出演:蒼井優・村上虹郎・尾崎世界観(クリープハイプ)

■ライブ情報
『石崎ひゅーいTOUR 2016「花瓶の花」』
7/21(木)@名古屋 ell.FITSALL
7/22(金)@大阪府梅田 Shangri-la
7/28(木)@東京・キネマ俱楽部

『THEラブ人間×石崎ひゅーいリリースツアー「メケメケの花」』
6/3(金)@香川・高松 DIME
6/4(土)@大阪・Shangri-La
6/11(土)@福岡・薬院Utero
6/12(日)@名古屋 UPSET
6/25(土)@徳島・徳島club GRINHOUSE
6/26(日)@浜松・メスカリンドライブ
7/8(金)@岡山・CRAZY MAMA 2nd
7/9(土)@広島・4.14
7/10(日)@神戸・太陽と虎
7/15(金)@群馬・高崎club FLEEZ

■ラジオ情報
石崎ひゅーいインターネットラジオ『ナイトミルク』
第一、第三木曜日に22:00配信よりUstream石崎ひゅーいチャンネルにて配信中。
http://www.ustream.tv/channel/huwie-ishizaki-ust-live

■関連リンク
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